せんべい汁自慢「わが家」惜しまれ閉店/八戸

せんべい汁自慢「わが家」惜しまれ閉店/八戸

 八戸せんべい汁を看板メニューに掲げ、青森県内外から訪れる人に八戸地方の魅力や食文化を発信してきた、八戸市六日町の「肴町(さかなまち)のわが家」が5月31日、人手不足を理由に、惜しまれつつ閉店した。八戸屋台村「みろく横丁」の開業当初に出した飲食店から出発した、店主の貝吹憲子さん(69)=同市=が提供し続けた郷土の味は、大勢に愛されてきた。貝吹さんは「今は全力でやり切ったという気持ち」と晴れやかな表情。「お客さんに助けてもらい、続けてこられた。本当に感謝したい」と万感の思いに浸っている。 貝吹さんは2002年、みろく横丁に「家庭料理わが家」を出店した。09年には肴町のわが家を開店。16年3月にみろく横丁の店を閉めるまで、二つの飲食店を営んでいた。 元々飲食店での勤務や経営の経験はなく、開店当初は接客などで慣れない点も多かった。「ビールだるの替え方も分からず、お客さんに助けてもらった」と苦笑混じりに振り返る。 一方、市内では家庭で普通に食べられる料理のため、当時は提供する店が少なかったせんべい汁を、メニューに加えた。そのおいしさが口コミで広まったほか、せんべい汁だけでなく、ひっつみなど郷土の味を追求し続けたことで評判となり、徐々に常連客が付くように。貝吹さんの穏やかな人柄も相まって、「1人で気軽に寄れる〝わが家〟のような店」として人気を集め出した。 さらに、12年の「B—1グランプリ」で、同市の八戸せんべい汁研究所が最高賞のゴールドグランプリに輝いたのも追い風となり、話を耳にした観光客やビジネス客も多く訪れるようになった。 大勢の客をもてなしてきた貝吹さんだったが、近年は店のスタッフ不足に悩まされていた。「今年4月からは1人で切り盛りしていた。料理に手いっぱいで、思うように接客できないときもあった」と申し訳なさそうに語る。 5月上旬、苦渋の決断をした。意向を知った常連客らから惜しむ声もたくさんもらったが、来てくれる人たちに迷惑を掛けるわけにはいかない—と決意は固かった。 最終日の5月31日。店には多くの客が訪れ、なじみの味をかみ締めながら、閉店を惜しんだ。貝吹さんもいつもと変わらない笑顔で接客し、感謝の気持ちを表した。 店を営む傍ら、市六日町商店街振興組合の理事長を7年間務め、地域活性化にも尽力してきた貝吹さん。飲食店を再開する予定はないが、今後は地域で、高齢者が気軽に集まれるコミュニティーをつくってみよう、と考えている。理事長時代に試みようとしたが、実現できなかった夢の一つでもあるという。 「みんなが元気に遊べる場所をつくりたい」。全力で駆け抜けた15年の日々に一区切りを付け、新たな夢に向かい歩き始めている。【写真説明】閉店当日、笑顔で接客する貝吹憲子さん。「お客さんに感謝」と万感の思いに浸る=5月31日、八戸市六日町の「肴町のわが家」

スゴ得でもっと読む

スゴ得とは?

関連記事

おすすめ情報

デーリー東北の他の記事もみる

北海道/東北の主要なニュース

青森 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

地域 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

地域選択

記事検索