(鈴木あかね・NNAシンガポール&ASEAN版記者)

 2019年はシンガポールにとって「代替肉」元年と言える年だった。代替肉とは食用肉に似た、あるいは同等の食品を植物由来の原料などで製造したものだ。ここ数年は、味も食感もかなり本物の肉に近づいている。「50年までに100億人超に達する世界人口のたんぱく質供給源」として注目されるようになり、畜産業に比べて環境負荷が小さいことも魅力とされる。

 シンガポールでは16年ごろから菌由来の代替肉が流通。19年には米国の2大代替肉メーカー、インポッシブル・フーズとビヨンド・ミートが相次いで参入し、一気に「代替肉」という言葉が知られるようになった。

 確認した限りでは、大豆由来の代替牛肉、タケノコやキノコ由来の代替豚肉、菌由来の代替鶏肉などを製造する各メーカーがシンガポールで市場を拡大している。エビの幹細胞を培養して作る、エビの「培養肉」の開発を進める企業も登場した。

 多民族で多宗教のシンガポールには、食事に制限があるさまざまな宗教の信者や菜食主義者が多い。代替肉も多様な食の選択肢の一つとして、受け入れられやすい土壌と言えるだろう。