(伊藤裕規子・JETROマドリード事務所)

 新型コロナウイルス禍によって大打撃を受けたスペインだが、再生可能エネルギー産業は好調だ。

 スペインは2010年代、手厚い助成によって世界で3本の指に入る再エネ大国となったが、太陽光や風力などの再エネ発電所が乱立。政府が食い止めを図り、発電所への助成を削減したことで投資が一気に冷え込んだため、14〜18年は新規稼働がほぼゼロになった。

 18年の政権交代後、再エネ促進に大きくかじが切られたことで、投資が再び活発化。19年は太陽光・風力合わせて6・1ギガワットと原発6基分の発電所が新規稼働した。また、今年8月には中国国有電力大手、中国長江三峡集団が10カ所以上の太陽光発電所を買収するなど、国外資本の顔ぶれも様変わりした。

 政府は再エネ利用促進のための法整備を進めており、20年5月には気候変動・エネルギー移行法案の議会審議にこぎ着けた。年末には発電設備の競争入札も導入予定で、最低発電価格を0ユーロに設定するなど、電力コスト抑制型の制度設計となる。

 欧州連合(EU)は50年に温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すグリーンディール政策を掲げている。スペインは過去の教訓を生かして、再エネ大国に返り咲けるか。