平昌五輪 サイバー攻撃に露関与説 東京五輪へ対策急務

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪へのサイバー攻撃が相次いでいる。

 2017年末にはアイスホッケーなど複数の競技団体に、韓国政府の国家テロ対策センターからのメールを偽装し、添付ファイルに不正プログラムを潜ませ、外部からコンピューターにアクセスできるよう細工された。2月9日の開会式当日には、公式ウェブサイトからチケットを印刷できないなどの被害が発生。さらに会場内の無線LAN「Wi─Fi」がダウンし、ドローン実機を飛ばすショーが中止に追い込まれたとも伝えられている。

 サイバー攻撃にはロシアの「ファンシー・ベア」というハッカー集団が関与した可能性を、複数の専門家が指摘している。ファンシー・ベアは、16年の米国大統領選で民主党全国委員会のサーバーに侵入し、ヒラリー・クリントン氏のメールをリークする妨害行為を行った「ロシア疑惑」への関与が取りざたされ、露連邦軍参謀本部情報総局の影響下にあるとされている集団だ。

 ロシアが五輪にサイバー攻撃を仕掛けるのは、国際オリンピック委員会が、14年ソチ冬季五輪でのロシアによる組織的なドーピング不正を認定し、平昌五輪からロシア選手団排除を決定したことに対する反発と見られている。つまり国としての報復措置だ。

 ロシアはこの問題について、公式見解を発表していない。しかしロシア疑惑では、米司法省が2月16日、プーチン大統領に近い政商、エフゲニー・プリゴジン氏を含むロシア人13人とロシア企業3社を、SNS(交流サイト)への投稿や広告を通じて大統領選に不当介入したとして起訴した。また2月13日の米国上院情報委員会公聴会で、コーツ国家情報長官は、「ロシアが今後もサイバー攻撃に力を入れる」と述べ、11月の中間選挙が標的になると警告した。米国が公の場で、名指しで指摘したことは、ロシア側があらゆる手段を講じることをいとわないことを示していると言える。

 ◇国際的ルールなし

 現代のサイバー攻撃が問題なのは、民間企業・団体が狙い撃ちされている点だ。サイバー攻撃を抑止する国際的なルールはいまだに形成途上であり、高度な技術を駆使し、痕跡を残さないサイバー攻撃の捕捉は極めて難しい。

 ロシアに科されたオリンピック参加資格停止処分が解かれない限り、次のオリンピックである東京五輪にもロシアは参加できない。排除は国の決定ではないにもかかわらず、韓国がサイバー攻撃を受けている。東京五輪を前にして、政府はしかるべき対策を講じて、民間でのサイバーセキュリティーの強化を支援することが急務だろう。

(北島純・グローバルリスク代表取締役)

*週刊エコノミスト2018年3月6日号「FLASH!」

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