長瀬智也「ごめん、愛してる」4話。悲しい話なのになぜ泣けないのかを考えてみた

長瀬智也主演のTBS日曜劇場『ごめん、愛してる』。先週は「世界陸上」でお休みだったため、本日は2週間ぶりの放送となる。先々週放送された第4話の視聴率は9.2%。徐々に下がっていってしまっている。(オリジナルサウンドトラック)


頭に銃弾を撃ち込まれて余命宣告を受けた男・律(長瀬智也)が、自分を捨てた母・麗子(大竹しのぶ)の愛を求めるも、麗子が溺愛するのは息子のサトル(坂口健太郎)だけ。一方、サトルに想いを寄せる凜華(吉岡里帆)だが、サトルは塔子(大西礼芳)に夢中で振り向いてもらえない。“愛する者に振り向いてもらえない”者同士の律と凜華が少しずつ距離を縮めていく……というのが大まかなストーリーだ。

で、悲しい話のはずなのに、なぜか泣けない。なぜなんだろう……と思いながら第4話を見ていたら、なんだか理由がわかったような気がした。第4話のサブタイトルは「刻々と死がせまってくる… ずっと俺のそばにいてくれ」。テーマは、これまであまり触れられてこなかった律の健康状態と余命だ。

長瀬智也たくましすぎるんじゃないか問題


「7月26日。日本に来てもうすぐ1ヶ月、今日も体調はバッチリだ。俺は命に限りがある大病だと言われてきたが、いまだどこも何ともねぇ。あれはたぶん医者の誤診だな……」

真夏の公園で、ワッシワッシとスクワットしながらスマホに語りかける律。パーンと自分で叩く胸板がめっちゃ逞しい。

「とはいえ、明日はどうなるかわかんねぇ……」と少し弱気になってみたものの、突然、「俺のモットーは一日一膳。一日一回はうまいメシを食うという意味だ。頑張るぞ、オー!」とよくわからない怪気炎を上げて、ぶっとい腕を誇示してみせる。怯えを打ち消してみたのだろうか。

律の症状は徐々に肉体を蝕んでいた。若菜(池脇千鶴)の部屋でめまいを起こし、サトルから離れてアメリカに旅立とうとする凜華を空港に送る車の中で激しく苦しみ始める。大丈夫か、律……! しかし、病院に運ばれることもなく、若菜の部屋でわりとケロッと治ってしまった。食欲もバッチリだ。

とにかく長瀬智也から生命力が溢れすぎている。ありていに言えば、健康的過ぎるのだ。だから、ものすごく悲しい境遇に置かれている律から幸薄感が漂ってこない。いや、とても健康的なのに余命わずかという運命の無常さもあるかもしれないが、長瀬からほとばしる生命力が物語の設定を凌駕してしまっている。繊細というより骨太、儚げというより危なげない。律の余命をテーマにした第4話が、はからずもそのことを浮き彫りにしてしまった。

長瀬智也を批判したいというわけではない。前髪を下ろして繊細さも演出しているし、韓国でのアウトローぶりや、サトルやペクラン(イ・スヒョク)にすぐに慕われてしまうアニキ感は長瀬ならではのものだ。ただ、現時点ではDASH村で鍛え抜かれた分厚い肉体と浅黒い肌が裏目に出てしまっている。何かとポンポン言い返す凛華役の吉岡里帆も、幸薄感とはちょっと遠い(可愛いけど)。

背後でセミがジージー鳴いている夏が舞台というのも関係があるのかもしれない。夏は生命が躍動する季節。やっぱり幸薄感が出るのは寒い冬だろう。そういえば本国版『ごめん、愛してる』では、中島美嘉の「雪の華」(の韓国語カバー)が主題歌として効果的に使われていた。

とはいえ、まだまだドラマは中盤にさしかかったばかり。5話から最終話に向けて、屈強な肉体を持つ長瀬からどのような哀しみが溢れ出していくのか。やるなら徹底的にやってほしい。第4話のラスト近くで凜華や若菜たちが興じる花火は、律がこれから短く激しく燃やす命の火を象徴している。これから視聴者の涙を搾り取ってくれるような展開に期待したい。今夜第5話は10分拡大だ。


(大山くまお)


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