令和2年5月29日、公的・私的年金の改正法案が国会で成立しました。   公的年金の繰り下げ受給の開始を最大75歳まで遅らせることができたり、私的年金であるiDeCoの加入上限年齢が現行の60歳から65歳に延長になったりと、超高齢化社会に対応した改正になりました。   今回は、老後資金のプランニングに大きな影響を与える年金改正法案についてお伝えします。

今の50代男性の多くは65歳まで公的年金はもらえない

老後の生活の柱となる公的年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。これらの年金は、基本的には65歳から支給開始されます。もっと早くもらいたい場合は繰り上げ受給を申請すれば60歳からもらうことも可能です。
 
ただし、もらえる年金は一定の率で減額され、その減額率は一生続きますので、もらうのをためらう方が多いでしょう。
 
会社員として1年以上働いたことがある方は、60代前半からもらえる特別支給の老齢厚生年金があります。ただし、男性は昭和36年4月1日以前生まれ、女性は昭和41年4月1日以前生まれでなければもらえません。
 
現在、50代男性の多くは、65歳まで公的年金はもらえないということになります。65歳までに退職するなら、年金支給開始までの生活費を確保する必要があります。

年金制度は高齢化時代対応型に改正された

令和2年5月29日、国会で公的・私的年金の改正法案が成立しました。2022年4月から公的年金の繰り下げ受給の開始を、最大75歳まで遅らせることができるようになります。
 
また65歳以降、働きながら年金をもらう場合でも、年に一度年金額が見直され、働いた分、もらえる年金が増えることを実感できるように改正されます。現行では、退職するか、70歳になった時にまとめて増額する仕組みです。
 
私的年金である個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できる上限年齢が、現行の60歳から65歳に延長、企業型確定拠出年金は70歳まで加入できます。60歳を過ぎても働く人も多く、私的年金制度も見直されることになったといえます。

65歳以降も働くメリットは?

65歳以降も働く場合、お金を稼げるというだけでなく、社会保障面でも大きなメリットがあります。厚生年金保険、健康保険には70歳まで加入できますので、将来の年金額を増やすこともできますし、健康保険組合によっては充実した福利厚生制度を受けることもできそうです。
 
また、65歳以降も雇用保険に加入できます。高年齢被保険者として、高年齢求職者給付金、育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付金の4つの給付金を申請・受給できます。
 
高年齢求職者給付金とは、いわゆる失業手当のことです。雇用保険の被保険者期間が1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分、基本手当の額に相当する金額が一時金として支給されます。
 
現役世代に比べると金額は少ないものの、失業した場合の手当てもあるのです。育児休業や介護休業の制度も使えるほか、教育訓練給付金も利用でき、かなりのメリットがあるといえます。
 
老後はゆっくりと趣味や旅行を楽しみながら過ごしたい、というシニアがいる一方、生きがい、やりがいを持って仕事を続ける、というシニアライフも当たり前になってきました。なかには、年金だけでは生活できないので働かなければならない、というシニアもいるかもしれません。
 
しかし人生100年時代。まだまだ先は長いと考えると、70歳くらいまで働いてお金をもらう生活というのも、見方を変えればおトクで充実したものになりそうですね。
 
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

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