産前産後の期間は、国民年金の保険料を払わなくても良いということをご存じでしょうか。払わなくても払ったのと同じ扱いになり、老後に受け取る年金額が減ることはありません。ただし申請が必要で、制度を知らないと払い損になってしまうので、要注意です。

働き方の多様化に応じた社会保障を

新型コロナウイルス感染症の影響によって休業や売上減が相次ぎ、政府からもさまざまな支援策が出されました。その際、フリーランスや個人事業主への支援が不足していることが問題になりました。
 
このような非常事態ばかりでなく、通常の社会保障制度でも、会社員とフリーランス・個人事業主では違いがあります。
 
一般に、フリーランス・個人事業主は働き方で個人の裁量が大きく、時間の調整などもしやすいのですが、社会保障や福利厚生という面では会社員ほどには手厚くありません。
 
近年、働き方の多様化で、フリーランス・個人事業主が注目されています。特に女性にとっては、子育てとの両立という面で魅力的です。女性が働きやすい環境整備のためにも、公的な制度である社会保障では、フリーランス・個人事業主に配慮した制度が求められます。
 
そのような社会背景もあり、昨年から国民年金でも、産前産後の期間は保険料の支払いが免除されるようになりました。

産前産後の免除で、保険料を払ったのと同じ扱いに

会社員が加入している年金制度が厚生年金なのに対し、フリーランス・個人事業主の人が加入しているのが国民年金です。保険料は、厚生年金が給料から天引きされて勤務先が支払う(負担は勤務先と折半)のに対して、国民年金は4月に納付書が送られてきて、自分で支払います。
 
会社員の場合、産休中はもちろん、育児休業の期間中も保険料が免除されます。厚生年金だけでなく健康保険の保険料も同様で、申請手続きは勤務先でしてくれます。
 
一方、フリーランス・個人事業主については、国民健康保険の保険料が免除になることはありません。国民年金についても以前は免除の対象外でしたが、昨年(平成31年)4月から保険料の免除制度ができました。
 
出産予定日(または出産日)の前の月から出産の翌々月までの4カ月間、保険料が免除される制度です。
 
そもそも産休がありませんが、それと同じぐらいの期間は社会保険料が安くなるわけです(妊娠85日以上の出産であれば、死産、流産も含みます)。双子以上の場合は、出産の3カ月前からの6カ月間が対象です。
 
ちなみに、国民年金には収入が少ない人のために保険料を免除する制度があります。ただ、その場合は免除の程度や期間に応じて、老後に受け取る年金額も少なくなります。
 
ところが、この産前産後の免除制度の場合は、通常どおりに保険料を払ったのと同じ扱いとなり、保険料を払わなかったことのデメリットがありません。

申請手続きを忘れると免除になりません

制度の利用には、市区町村の役所で申請する必要があります。申請は、出産予定日の6カ月前からできますし、出産後でも構いません。すでに保険料を払っている場合は、その期間の保険料が戻ってきます。
 
 
国民年金の保険料を払っている人にとっては、誰もがお得になる制度ですが、こちらから申請しなければ適用されません。銀行口座からの引き落としやクレジットカード払いの登録をしている人は、うっかり忘れると「払い損」ということにもなりかねません。
 
自治体の窓口でも、母子健康手帳や出産育児一時金の申請時に案内があるかと思いますが、あくまで本人が手続きをして初めて保険料が免除になります。忘れずに申請しましょう。
 
(参考)
 
執筆者:村井英一
国際公認投資アナリスト

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