公的年金の縮小化や、企業における確定給付型の企業年金制度の見直しが進む中、個人の自助努力によって老後資金を準備する必要性が高まっています。   そのひとつとして、確定拠出年金に期待が寄せられています。確定拠出年金のキホンをざっくりと確認しておきましょう。

確定拠出年金(DC)の施行状況

確定拠出年金の施行状況(令和2年4月30日現在)によると、企業型DCの実施事業主数は3万6216社、加入者は約723万人となっています。
 
一方、個人型DCの加入者数は第1号加入者(自営業者等)が18万619人、第2号加入者(会社員等)が135万1166人、第3号加入者(専業主婦(夫)等)が5万4984人、合計158万6769人となっています。
 
個人型DCは2017年1月より、加入可能範囲が60歳未満の国民年金の加入者であれば基本的に誰でも加入できるようになりました。従来の加入資格に加え、専業主婦(夫)などの国民年金保険第3号被保険者、企業年金を導入している会社の会社員、公務員等共済加入者も個人型DCに加入できるようになりました。
 
そのため大幅に加入者数が増加しました。ちなみに、2016年3月末時点では、個人型DCの加入者数は、第1号加入者が7.0万人、第2号加入者が18.7万人、合計25.8万人でした。

確定拠出年金(DC)の仕組み

企業が実施する企業年金(私的年金)には、厚生年金基金などの確定給付型の年金があります。これらの年金は将来受け取る年金額が確定しており、運用の失敗は企業が責任を負います。
 
一方、確定拠出年金(DC)は、(1)企業や個人が掛金を拠出し、(2)加入者自らが運用し、(3)掛金と運用益の合計額を年金として受け取ります。確定しているのは、拠出額(掛金)であり、将来の年金額は運用成果によります。つまり、運用の失敗は個人の責任です。
 
加入者等が転職した場合等には、DCで積み立てた資産を他の制度へ持ち運べる場合があります。この年金資産の持ち運び(ポータビリティ)により、転職した場合でも継続して老後資金の積立ができます。

企業型DCと個人型DC

DCには企業型と個人型があります。個人型DCはiDeCo(イデコ)の愛称で親しまれています。企業型DCでは、企業が規約に基づき従業員のために掛金を拠出します。なお、規約に定めがある場合、従業員が事業主掛金に上乗せして拠出できます。
 
企業型DCの規約に定めがあれば個人型DCへの加入が可能ですが、従業員拠出(マッチング拠出)を実施している場合には、同時に個人型DCへの加入は認められていません。個々の加入者は、企業が選んだ運営管理機関から提示された運用商品の中から、自分が投資する運用商品を選択します。
 
個人型DCでは、加入者本人が拠出限度額の範囲内で任意に掛金を拠出します。個々の加入者は、個人が選んだ運営管理機関から提示された運用商品の中から、自分が投資する運用商品を選択します。
 
企業型DC、個人型DCとも、運用商品の預け替えは、少なくとも3ヶ月に1回認められます。また、給付には、老齢給付金(原則、60歳到達が支給事由)、障害給付金、死亡一時金があります。

DCの税制

企業型DC、個人型DCとも、掛金拠出時、運用時、給付時それぞれにおいて税制優遇措置が設けられています。
 
(1)掛金拠出時:個人が拠出する掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり、所得税と住民税の負担が軽減されます。企業が拠出する場合は損金に算入できます。
 
(2)運用時:利息・配当・売却益などの運用益は全額非課税となります。
 
(3)給付時:老齢給付金を年金で受け取る場合には雑所得として課税(公的年金等控除の対象)。一時金として受け取る場合は退職所得として課税(退職所得控除の対象)。障害給付金は非課税、死亡一時金は相続税として課税されます。

加入者と運用指図者

加入者と運用指図者の違いをご存じでしょうか。加入者とは掛金を拠出し、資産の運用を行う人をいいます。運用指図者とは掛金を拠出せず運用のみ行う人です。よく出てくる用語ですので区別がつくようにしてきましょう。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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