85歳以上の要支援・要介護の発生率は6割。「介護」は老後のライフプランを考える上でマストな論点になって来ます。老後と介護について考えてみましょう。

老後のライフプランの全体像

人生100年時代。長い老後に備えるためには、大まかでもしっかりとした資金計画をしておくと安心です。基本的な手順は以下のとおりです。
 

1.まずは、理想とする暮らし方の全体像をイメージすることから始めます(ライフデザイン) 2.次に、ライフデザインに基づいて必要な生活費を試算していきます(支出) 3.お子さんの結婚、住宅のリフォームや住み替え、旅行・趣味等など想定されるイベントにかかる費用を見積もります(支出) 4.現在の貯蓄、受け取れる公的年金、退職金、企業年金、私的年金などの収入見込みを把握します(収入および貯蓄) 5.全体としての収支をチェックします(支出−収入および貯蓄=不足額) 6.不足額が生じた場合にはそれを補うための手だてを計画し実行します 7.定期的に見直します

 
さて、2018年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳でした。ともに過去最高を更新しました。
 
公益財団法人日本生命保険文化センターの資料によると、85歳以上の方の6割が要支援・要介護認定を受けているとのこと。これからは、要介護や要支援状態になることも想定したライフプランが必要になって来ます。

85歳以上の方の要支援・要介護の発生率は60%

年齢別人口に占める要支援・要介護認定者の割合と人数について調べてみました。70歳以降から人数も割合も倍々で増えていることが分かります。
 
40〜64歳 0.4% (16万1900人)
65〜69歳 2.9%(26万400人)
70〜74歳 5.7%(49万600人)
75〜79歳 12.8%(91万8700人)
80〜84歳 27.8%(148万600人)
85歳以上  60.0%(353万1400人)

要支援・要介護の原因のトップは「認知症」

介護や支援が必要となった主な原因としては、「認知症」が最も多く約18.0%を占めていました。
 
次に多いのが「脳卒中などの脳血管疾患」(16.6%)、「高齢による衰弱」(13.3%)、「骨折・転倒」(12.1%)、「関節疾患」(10.2%)と続きます。

介護の期間は平均すると4年7ヶ月、10年以上になるケースも

介護を行った期間(現在介護中の人は介護を始めてからの経過期間)の平均は4年7ヶ月ですが、構成比で最も高いのが「4〜10年未満(構成比28.3%)」になっています。「10年以上(構成比14.5%)」を加えますと全体の42.8%を占めることになります。
 
1位:4〜10年未満(構成比28.3%) 
2位:10年以上(構成比14.5%)
 (上記2つの合計で42.8%)
2位:3〜4年未満(構成比14.5%)
2位:2〜3年未満(構成比14.5%)
5位:1〜2年未満(構成比12.6%)

介護に要した月々の費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は7万8000円

【月額】

平均は7万8000円です。「15万円以上」(15.8%)、「5万〜7万5000円」(15.2%)、「1万〜2万5000円」(15.1%)となっていて、それぞれの層に同じぐらい分布しています。

【一時的な費用】

住宅改造や介護用ベッドの購入などの、一時費用の合計が平均は69万円となっています。ただし、分布を見ると最も多いのが「15万円以下(構成比19.0%)」、次に多いのが「かかった費用がない(構成比15.8%)」ですので、平均額は参考程度に見ても差し支えないでしょう。

まとめ

介護に関する日本の現状を整理しますと以下のとおりです。
 

日本の現状 ★1. 85歳以上の方の要支援・要介護の発生率は60%と非常に高い ★2.原因は「認知症」がトップ ★3.介護に要する月々の費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)の平均は7万8000円 ★4.介護期間は平均すると4年7ヶ月。ただし10年以上になるケースも一定の割合で推移している

 
年齢を重ねていくと、要支援・要介護になる確率も高くなり、そのきっかけは主に認知症の発症であること、そして介護期間は10年という長期におよぶこともあることを知ることができました。今後、老後のライフプランを作成する場合には留意する必要がありそうです。
 
(参考)
厚生労働省「介護給付費等実態統計令和元年7月審査」
公益財団法人生命保険文化センター資料
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

関連記事