【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆日本株、蚊帳の外の背景探る◆

〇新興国相場、北朝鮮、中国情勢など影響か〇



スッカリ影の薄くなったヘッジファンドの近況を伝えるニュースをブルームバーグが二つ伝えた。一つは、空売りで知られるオディ・アセット・マネジメント。運用する欧州株ロング・ショート戦略ファンドが7月に約10%の損失を出した。7月-9.8%、1-7月で-12.2%。昨年、運用者のクリスピン・オディ氏は英国株がブレグジットで80%下落する可能性があると警告するなど、欧州に超弱気のスタンスを取っていた。最近のユーロ高などの揺り戻しに付いていけてない状況が窺える。



一方、調査会社ヘッジファンドリサーチによると、レバレッジを利かせた新興国専門ファンドは1-7月+14%のリターンを稼いだ(全体+3.7%)。09年の+20%に次ぐ好成績。ドル高が修正され、米株指数に何年も後れを取っている点、新興国債に妙味が大きい点が背景となっている。



最近でこそ、格差が拡大しているが、日本株は米株連動市場との認識。加えて、金融政策の差により、円は逆方向的に動き易い。膠着感の強いドル円相場が続き(経済的には日銀の狙い通り日本経済の安定に寄与しているが)海外投資家にとって、為替込みの妙味が乏しい状況と言える。さらに、北朝鮮情勢、中国情勢の不透明感が加わる。



昨日のNY市場は小動きだったが、NYダウは11日ぶりに反落(33ドル安)。トランプ大統領の対北朝鮮強硬発言が契機となった。4日付FOXニュースは「水素爆弾を開発中」(それを運ぶICBM「火星13」も含む)と伝え、8日付WP紙電子版は「北朝鮮は小型化した核弾頭の製造に成功している」との国防総省が分析していると伝えた。核兵器保有は最大60発に上る可能性があるともした。ティラーソン国務長官は対話路線を主張しているが、9日の朝鮮中央通信は「(米戦略爆撃機の朝鮮半島での訓練を非難し)中距離弾道ミサイル火星12で、グアムを包囲射撃する作戦計画を慎重に検討している」と威嚇した。国連制裁決議もあり、海外の北朝鮮情勢緊迫感が徐々に高まっていると見られる(8月21日から米韓合同軍事演習予定の報)。



中国の北戴河会議の様相が断片的に伝えられ始めた。やはり、秋の共産党大会で最高指導部から江沢民派が一掃される可能性があるようだ(従来、事前予想と異なる結果となったことがあるので、まだ決めつけはできないが)。それに合わせたか、習体制での統制強化の細かいニュースが相次いでいる。中国企業の海外買収取締り強化、1000超の投資口座をブラックリストに載せ過熱しているIPO株申し込みを禁止、中国内発行のキャッシュカード・クレジットカードなどを使って一回1000元(約1.6万円)以上消費した場合、利用明細を当局に報告する義務(8月21日から実施。抜け道とされた香港での保険購入ブームを意識したものとされる)、ネットショップモールの淘宝(タオバオ)は販売中の日本語版ゲームソフト販売を中止した(8日から、日本のゲーム業界には衝撃になると見られる)。マクロ的には順調だが、各論での日本への悪影響を測る局面と位置付けられる。





以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/8/9号)

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