ロヒンギャ難民30万人「ミャンマー憲法改正が課題」=専門家

 仏教国ミャンマー西部で8月下旬から、ムスリムの少数民族ロヒンギャの武装勢力と治安部隊による衝突が続いている。情勢混乱のためロヒンギャは、バングラデシュをはじめ近隣国へ移動している。専門家は「世界でもっとも虐げられた民族」と例えられているロヒンギャ問題を解決するには、民主化の象徴であるアウンサンスーチー氏の憲法改正が課題と指摘する。



 国連によると、ロヒンギャ難民は30万人に達し、多くは女性や子供、高齢者。船で海上を移動するものもいるが、沈没し、相次いで水死しているという。ロヒンギャの住民被害が拡大していることを受けて、双方は10日、1カ月の停戦を宣言した。



 国連人権高等弁務官は11日、国連の現地調査は行われていないが、ロヒンギャ問題について「民族浄化」が疑われるとして懸念を表明した。国連は、かねてからロヒンギャについて「世界でもっとも虐げられた民族」と例えている。



アウンサンスーチー氏 偽情報に懸念



 事実上のミャンマー指導者アウンサンスーチー国家顧問兼外相は6日、ロヒンギャ問題について声明を発表。「国内に住む人々全員が社会的、人道的に保護されるように対応している」と主張した。また、治安部隊がロヒンギャを迫害しているとの情報は「大量にあるニセ情報の巨大氷山の一角」と否定し、「テロリストの利益」を助長しているとした。



 報道制限しているミャンマー政府は、6日と7日に、衝突が発生しているラカイン州での海外メディアの取材を許可。当局の発表では、同州のある村はロヒンギャ側の武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」の襲撃に遭い、学校や住宅などが放火され、400人以上が死亡したという。ARSAのリーダーは、パキスタンで軍事訓練を受けているとの報道もある。



 政府は対テロ法に基づいてARSAを「テロ組織」に指定し、治安部隊の増派を決めた。民主化の象徴でもあるスーチー氏は武装しない市民は保護したいとの意向を示している。



ロヒンギャをめぐる背景







 ビルマ近代史専門の上智大学・根本敬教授は、NPO難民支援協会のインタビューで、多民族国家であるミャンマーで、ロヒンギャが深刻な人権侵害に置かれている理由は2つあると指摘。1つは、19世紀の英国植民地前にいた同国の土着の民族ではないとして、国民として認められていないこと。また、ムスリムであり、顔の彫りが深く、肌が黒いことで信仰と外見上の差別があるとした。



 根本氏の解説によると、迫害を恐れ、ロヒンギャの貧困層は70年代から毎年、数千から数万人の脱出と難民流出が起きている。人身売買業者のあっせんで海上輸送され、周辺諸国へ売却されていた。しかし、インドやタイなどの政府はこの取り締まりを強化し、受け入れ先のないロヒンギャは海上に放置され、飢餓にいたるという深刻な状態に陥った。資産のある一部の者は、日本、米国、カナダ、北欧などに移り住んでいるという。群馬県館林市は在日ロヒンギャが多いことで知られている。



 これまで野党側の指導者だったスーチー氏は政府側の立場となった今、慎重姿勢を示している。長年ロヒンギャ族を取材するカメラマンの狩新那生助氏によると、「スーチー氏がロヒンギャを救済をすれば、国内での反発が大きくなる」と日本メディアの取材に答えた。国際社会には「虐げられた少数民族」と映っているが、ミャンマー国内では「不法移民であり、治安を乱している」と認識されている。 



 根本氏によると、ロヒンギャによる国籍法の改正や、いまだに軍部の政治介入があるミャンマー憲法を改正することが課題となると分析する。 



(編集・甲斐天海)




【ニュース提供・大紀元】

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