4月29日、米国立アレルギー感染症研究所は、新型コロナウイルス感染症治療薬として注目を集めている抗ウイルス薬「レムデシビル」の明確な効果が示されたと述べた(様々な見方があるようだが)。このように治療薬開発に関するニュースフローが増えているが、新型コロナウイルスの克服にはワクチンの開発も必須である。治療薬の開発は、既に開発済の治療薬の有効性を試す「リポジショニング戦略」が先行するため、上手くいけば早期に治療薬が見出される。一方、ワクチンの開発は毎回ゼロベースから始まるため、長期化する傾向が強く、多額の資金が必要となる。



CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations、感染症流行対策イノベーション連合)は、感染症ワクチンの国際的な研究開発の推進を目的に設立された機関である。CEPIによると2020年4月8日の時点で115のワクチン候補が開発段階にあり、そのうち78件がアクティブである。78件のアクティブなワクチン候補のうち、36件の開発者は北米、14件が中国、14件はアジア(除く中国)とオーストラリア、14件がヨーロッパである。CEPIはこれまで「接種可能になるまでに1年から1年半かかる」としていたが、企業の緊密な連携によるプロセス加速の可能性や、臨床試験の早期実施などを勘案すれば「年内にも接種できる可能性」を指摘している。



進行中のプロジェクトのほとんどが探索的または前臨床段階にあるが、臨床試験に進んだものも出始めた。Modernaは3月中旬から第1相臨床試験が開始、Inovioも4月に臨床試験が開始された。Modernaは、2020年秋にもワクチン提供を開始する計画と言及している。その他では、Novavaxが5月、Medicagoが7〜8月、Johnson & Johnsonが9月までに臨床試験に入る。GSKは「うまく行けば億単位のワクチン生産体制(=量産体制)が2021年後半にも確立される見込み」と言及しているが、どの程度が日本に入ってくるかは不透明感も強い。日本ではアンジェス<4563>、田辺三菱製薬、塩野義製薬<4507>、第一三共<4568>なども開発に参入したことが報じられている。



(株式会社フィスコ 中村孝也)