為替週間見通し:ドルはもみ合いか、米利上げ継続方針は支援材料に

【先週の概況】

■トルコリスクなどを嫌気してリスク回避の円買い強まる



先週のドル・円は弱含み。米雇用情勢の良化を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ継続の方針を堅持するとの見方が強まり、週初はリスク選好的なドル買い・円売りがやや優勢となった。しかし、米国は7日、中国製品160億ドル相当に関税25%の発動(今月23日から)を発表したことに対して、中国も同様の報復措置を発表したことや、日米通商協議(FFR)初会合への警戒感が広がったことから、ドル売り・円買いが優勢となった。



トルコ経済の混乱も円買い材料となった。「対米関係の悪化などによるトルコリラの急落を受け、欧州中央銀行(ECB)は欧州の一部銀行のトルコリスクを懸念している」と報じられたことがユーロ売り・円買いにつながった。この影響でドル・円の取引でもユーロ・円取引に絡んだドル売り・円買いが観測された。



10日のニューヨーク外為市場では、トランプ米大統領はトルコとの関係悪化や通貨安を理由に、同国製の鉄鋼とアルミニウムに賦課する関税率を倍に引き上げることを承認したことを受けてドル・円は一時110円51銭まで下落した。ただ、トルコ国内で拘束されている米国人牧師の解放に向けた協議が進展しているとの報道でドル売りはやや一服し、ドル・円は110円93銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:110円51銭−111円53銭。



【今週の見通し】

■ドルはもみ合いか、米利上げ継続方針は支援材料に



今週のドル・円はもみ合いか。貿易問題を巡って米中の対立は激化している。また、トルコリラの急落を受け、欧州中央銀行(ECB)は欧州の一部銀行のトルコリスクを懸念しており、金融市場への影響を懸念したリスク回避的な円買いは継続する可能性があるものの、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続の方針を背景に主要通貨に対するドル買いがただちに縮小するとの見方は多くないようだ。



トルコなどの新興国経済の悪化を警戒して投資資金が米国に還流するとの見方もドル買い材料となる。ユーロ圏経済のファンダメンタルズやECBの金融政策を意識したユーロ買い・米ドル売りがすみやかに広がる可能性は低いことや、米中貿易摩擦の長期化によって中国経済の減速が予想されていることもドルに対する支援材料となる。こうした背景から、米経済指標が堅調な内容となり、FRBのタカ派姿勢を後押しできれば、9月と12月の追加利上げを見込んだドル買いは継続するだろう。



一方、9日に米ワシントンで開かれた日米通商協議(FFR)の初会合では、米国側が2国間交渉の開始を要請したのに対して、日本側は環太平洋連携協定(TPP)が日米双方にとって最善との考え方を表明したようだ。茂木経済再生相によると、日米は貿易拡大で合意し、次回の貿易協議は9月中をめどに行なわれるもよう。

日本が米国の要求に応じて日米自由貿易協定(FTA)の交渉を近く開始するとの見方は後退していないが、対米貿易黒字縮小の観点からFTA締結はドル買い・円売り材料になるとの声が聞かれている。ただし、米中貿易摩擦激化に対する警戒感は消えていないことから、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとの見方も残されている。



【米・7月小売売上高】(15日発表予定)

15日発表予定の7月の米小売売上高は前月比+0.1%と、6月の+0.5%を下回る見通し。ただ、今年2月以降は前月比プラスを維持しており、7月もプラスを維持できれば個人消費の下振れ懸念は後退し、ドル売り要因にはなりにくいだろう。



【米・8月フィラデルフィア連銀景況調査】(16日発表予定)

16日発表予定の米8月フィラデルフィア連銀景況調査は22.0と7月の25.7から低下する見込み。ただし、市場予想とおおむね一致した場合はドル売り材料にはならないとの見方が多いようだ。



予想レンジ:109円50銭−112円50銭


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