【先週の概況】

■米国経済の先行き不安でドルは伸び悩む



先々週・先週のドル・円は伸び悩んだ。米国経済の段階的な再開への期待が広がり、リスク選好的なドル買いが強まる場面があったが、今年4-6月期の個人消費や企業設備投資は前例のない落ち込みを記録するとの見方が広がったことから、米国経済の早期回復への思惑は後退した。トランプ米大統領が新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で中国を非難し、報復追加関税の導入について言及したことも嫌気された。ドル・円は一時106円を下回る場面があった。



8日のニューヨーク外為市場でドル・円は106円28銭まで下落後、106円75銭まで上昇した。この日発表された米国の4月雇用統計で失業率は第二次大戦後では最高となる14.7%まで上昇し、非農業部門雇用者数は過去最大の減少を記録した。ただ、中国商務省は、「劉鶴副首相が8日午前、ライトハイザー米通商代表とムニューシン米財務長官との間で電話協議を行った」と発表したことを好感してリスク回避のドル売りはやや縮小し、106円66銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:105円99銭-107円64銭。



【今週の見通し】

■ドル・円は底堅い動きか、米雇用統計通過で底入れ期待も



今週のドル・円は底堅い値動きか。劉鶴副首相は8日、ライトハイザー米通商代表とムニューシン米財務長官と電話協議を行ったものの、新型コロナウイルスの発生源をめぐる米中対立で貿易協議決裂への警戒感は消えていないようだ。また、米国内での新型ウイルスの感染拡大のペースが緩やかになったとはいえ、感染による死者は増えており、経済活動の再開に慎重な州は少なくないようだ。



ただ、米株式市場は前例のない悪化となった4月米雇用統計を消化しつつあり、景気底入れへの期待が広がっていることから、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となる可能性がある。ジョージア、カリフォルニアなど複数の州は都市封鎖(ロックダウン)を段階的に解除する方向で、経済の正常化に向けた動きも出始めている。また、一時混乱に陥った原油相場は持ち直しており、4月の米雇用統計が急激な悪化を示しても景気底入れの期待が一段と広がる可能性もある。

【米・4月消費者物価指数(CPI)】(12日発表予定)

12日発表の4月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.4%、コア指数は+1.7%と予想されており、インフレ率は3月実績を下回る見込み。人口の多い地域の封鎖などが消費にどのような影響を与えているか注目される。



【米・4月小売売上高】(15日発表予定)

15日発表の4月小売売上高は前月比-10.9%と、減少幅は3月の-8.4%を上回る見込み。個人消費は著しく落ち込んでいる。新型コロナウイルスの影響による雇用情勢の悪化で消費の大幅な縮小が顕著になりそうだ。



予想レンジ:105円50銭−108円00銭