足元では過去最悪の経済指標の発表が相次いでいるものの、投資家は最悪期は脱したと慎重ながらも楽観的な見方を強めている。先週に続き株式相場は堅調に推移しそうだ。携帯端末のアップルが米国内での店舗を今週から再開すると発表するなど、今週は経済活動の再開が一段と拡大する。雇用統計は失業率が戦後最高、雇用者数も過去最大の減少を記録した4月が最悪で今後は緩やかに回復する見通し。リッチモンド連銀のバーキン総裁は景気が底を打ち緩やかに回復に向かうとの見通しを示したほか、ゴールドマンサックスやモルガン・スタンレーのエコノミストも各国で外出規制が緩和され、経済活動が再開し始めたことに伴い世界経済が持ち直し始めたと楽観的な見解を示し、経済は4月に底入れし緩やかに回復に向かうとのシナリオで一致している。中国経済が2月に底入れしたことを基準にすると、ユーロ圏は4月、米国は4月末頃が底と考えられる。先週、ナスダック総合指数は年初来で上昇へと転じたが、コロナ危機によりテクノロジーの重要性が浮き彫りとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な金融緩和策は当面持続する可能性が高く、ハイテク株が引き続き相場上昇をけん引することになるだろう。



短期的なリスクは新型ウイルス発生の原因や対策を巡る米中対立になる。米国政府はサプライチェーンの中国依存を解消する意向だ。トランプ大統領は8日のTVインタビューで、「中国には非常に苦労している」と述べ、ウイルスパンデミックが中国の貿易協定合意を相殺してしまったとし、「中国に関する決定はしていない」と追加関税の可能性を除外していない。



経済指標では、4月消費者物価指数(12日)、4月生産者物価指数(13日)、4月輸入物価指数(14日)、4月小売売上高速報(15日)、5月ニューヨーク連銀製造業景気指数(15日)、4月鉱工業生産・設備稼働率(15日)、3月企業在庫(15日)、3月JOLT求人件数(15日)、5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値(15日)などが予定されている。特に米国経済の7割を消費が占めるため最新4月小売売上高速報や5月ミシガン大消費者信頼感指数に注目が集まる。小売りはマイナス11.3%と過去最大に落ち込む公算。さらに、5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値は2011年11月以来の水準まで低下する見込み。引き続き、週次新規失業保険申請件数や3月JOLT求人件数で労働市場の状況を判断していくことになる。



企業決算は大詰めを迎える。家具メーカーのイーサンアレン(11日)、大手ホテルチェーンのマリオットインターナショナル(11日)、全米最大の電力会社デュークエナジー(12日)、 共同購入クーポンサイトを運営するグルーポン(12日)、中国のネット通販事業を運営するアリババ(13日)、百貨店大手のメーシーズ(13日)、半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(14日)、上場後間もないオンラインギャンブルを運営するドラフトキング(15日)などが予定されている。パンデミックで打撃を受けたグルーポンは売上の大幅悪化で2800人の解雇を既に発表している。業績がすでに低迷していた百貨店のメーシーズもウイルスが更なる打撃となっており業績悪化が警戒される。同業のニーマン・マーカス・グループは先週、連邦破産法を申請した。一方で、外出自粛の恩恵を受けるオンラインギャンブルのドラフトキングや中国のネット通販事業を運営するアリババなどでは好決算が期待できそうだ。



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