【先週の概況】

■ウイルス感染再拡大を警戒して安全逃避のドル買い強まる



先週のドル・円は、強含み。新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒して、株式から米国債などへの資金シフトが観測されたが、安全資産とみなされているドルの需要も増加し、ユーロ、豪ドル、新興諸国通貨などに対するドル買いが優勢となった。ナバロ米大統領補佐官は6月22日、米FOXニュースの番組に出演し、「トランプ大統領が中国との第1段階貿易合意を打ち切ることを決めた」と語ったことから、リスク回避のドル売り・円買いが活発となり、ドル・円は一時106円07銭まで下落した。ただ、ナバロ米大統領補佐官は「第1段階貿易合意は依然有効」と釈明したことや、トランプ大統領が「中国との貿易合意は全く損なわれていない」と述べたことから、リスク回避のドル売りは縮小。ユーロ売り・米ドル買いの取引が増えたことでドル・円の取引でもドル買いが優勢となった。



26日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時107円36銭まで上昇した。この日発表された5月コアPCE価格指数が予想を上回ったことや、5月個人消費支出が統計開始後では最大の伸びを記録したことを受けてドル買いが優勢となった。ただ、米国株式の大幅下落や米長期金利の低下を意識してドル買いは一服し、107円22銭でこの週の取引を終えた。

・ドル・円の取引レンジ:106円07銭−107円45銭



【今週の見通し】

■ドルへの逃避行動が広がる可能性



今週のドル・円は、底堅い値動きか。欧米諸国などで新型コロナウイルスの感染再拡大が警戒されており、リスク選好的な取引は縮小する可能性がある。ウイルス感染の再拡大によって米国経済の早期正常化への期待が低下した場合、株式、商品などのリスク資産からドルへの逃避行動が再び広がる可能性がある。



米国ではテキサス、フロリダ、カリフォルニアを中心に新型コロナウイルスの感染が再拡大し、1日の新規感染者数は過去最多を更新した。累計の死者数も増加している。トランプ大統領は経済の早期正常化を優先する方針で、現時点で第2波の懸念が強まっても制限措置の再開には否定的だが、全米レベルでウイルス感染が拡大した場合、制限措置の緩和を停止せざるを得ないとの見方が多いようだ。米国景気の早期回復期待は遠のくことになろう。当面はウイルス感染の被害状況を見極める展開となり、感染拡大を嫌って米国株式が大幅に下落した場合、安全資産であるドル資金の需要が高まる可能性がある。



なお、連邦準備制度理事会(FRB)は7月1日に連邦公開市場委員会(FOMC)の6月会合の議事録を公表する。市場参加者の間からは、「FRBはイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を導入する可能性は残されている」との声が聞かれており、議論の内容が注目される。



【米・6月ISM製造業景況指数】(7月1日発表予定)

7月1日発表の6月米ISM製造業景況指数は49.0と、5月の43.1から持ち直す見通し。新型コロナウイルスの影響を受けた製造業で回復の兆しが明確に示された場合、経済の早期正常化を期待したドル買いが強まる可能性がある。



【米・6月雇用統計】(7月2日発表予定)

7月2日発表の6月雇用統計は、失業率12.3%(前回13.3%)、非農業部門雇用者数は前月比+300.0万人(同+250.9万人)と予想されている。失業率の低下と雇用者数の増加はドル買いを誘発する要因になりそうだ。



ドル・円の予想レンジ:106円00銭−108円50銭