【先週の概況】

■ドル下げ渋り、米国経済の早期回復への期待残る



先週のドル・円は下げ渋り。6月30日に発表された6月CB消費者信頼感指数は、市場予想を上回る改善を示したことから、7月1日のアジア市場でドル・円は108円台前半まで買われた。7月1日発表の6月ISM製造業景況指数は、市場予想を大幅に上回ったこともドル・円相場を下支えした。1日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合議事要旨には、「参加メンバーの大半がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の導入には慎重」との記述が含まれており、ドル売りを抑制する一因となった。



米国各州で新型コロナウイルスの感染者数が急増しているとの報道を受けて、リスク選好的なドル買いはやや一服したが、2日に発表された6月の米雇用統計は市場予想を上回る強い内容だったことから、ドル・円は一時107円台後半まで戻した。なお、3日は米独立記念日の振替休日のため、米国市場は休場。ドル・円は107円51銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:107円04銭−108円16銭。



【今週の見通し】

■下げ渋りか、米国経済正常化への期待残る



今週のドル・円は下げ渋りか。米国の新型コロナウイルスの感染再拡大と経済の早期正常化を見極める展開となり、期待と警戒でドル・円の取引では売買が交錯しそうだ。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作/YCC)導入への思惑は後退しており、投機的なドル売りは抑制される可能性がある。



先週発表された米国の6月ISM製造業景況指数や6月雇用統計などは予想以上の改善を示しており、米国経済の早期回復への期待が広がっている。パウエルFRB議長も議会証言で当初の想定よりも早く持ち直すとの見方を示し、今週発表の経済指標が堅調な内容だった場合は、リスク回避的な円買いは抑制される展開が見込まれる。



一方、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が指摘しているように、ユーロ圏経済も最悪期を脱したとの観測が広がっている。短期的には、経済指標を手がかりにユーロ買いが想定される。欧州復興基金については、ミシェル欧州連合(EU)大統領(常任議長)が妥協案を今週中に公表するもよう。妥協案が評価された場合、ユーロ買いを後押しし、ドルには下押し圧力となる。



ただ、米国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることや、香港統治をめぐる米中対立は深まっていることから、安全逃避的なドル買いがただちに縮小する状況ではないとの見方が多い。米国議会で香港自治法案が成立した場合、米中関係の見通しは一段と悪化すると懸念されている。これらの要因で米国株式や商品相場が大幅安となった場合、安全逃避的なドル買いが一時的に強まる可能性がある。



【米・6月ISM非製造業景況指数】(6日発表予定)

7月6日発表の米6月ISM非製造業景況指数は、49.1と、5月の45.4を上回る見通し。好不況の節目となる50に接近すれば早期回復への期待感から株高につながるが、ドルは下げ渋る展開となりそうだ。



【米・前週分新規失業保険申請件数】(9日発表予定)

7月9日発表の前週分新規失業保険申請件数は、改善度合いが注目される。雇用統計は回復基調にあるものの、申請件数は減少傾向が鮮明とは言い切れず、申請件数が予想を上回った場合、ドル売り材料となる可能性がある。



予想レンジ:106円00銭−109円00銭