トランザス<6696>は、1995年に創業以来25年間、時代のニーズに合わせ、業態を変化させることで成長してきた。10月に、凸版印刷と共同でホテル向けインフォメーションサービスの提供を開始した。



ホテルの客室テレビにスティック型端末を挿入するだけで導入でき、施設インフォメーションや、周辺観光情報、クーポン、施設やアクティビティ予約、エンタメコンテンツ(動画/雑誌/漫画など)の提供などを可能にする。宿泊客はスマホからの操作が可能。インバウンド需要を見込んだホテル業界のホスピタリティの向上、人出不足に応える形だ。



「デジタルトランスフォーメーションが世界中で進行している現在、モノ作りを生業とする企業にとってイノベーションへ投資するリスクより、しないリスクの方が圧倒的に高くなってきています。既存事業のセットトップボックスとは置き換えになりますが、ハードの売切りからサブスクリプションモデルへとビジネスモデルを変更することで持続的な収益計上が見込めます」と同社の藤吉英彦(ふじよし ひでひこ)社長は語る。



藤吉社長は、静岡での学生時代に、アルバイトで第二電電(当時)の長距離電話のアダプタ取付け工事の代理店を始め、1995年に起業した。その後、この事業がなくなったとき、1,000棟以上ある顧客に対して、インターネットへの切替を思いつき、マンション向けインターネットのサービスプロバイダーの事業を開始したのが1998年。PHSの代理店もしながら、沼津、横浜へと店舗を拡大した。電話線にインターネットを多重化する技術は当時の日本には無かった。台湾で調達を検討するうち、自分たちで作ろうと始めたのが開発メーカーとしての原点である。2000年に入ると、大手のキャリアがこぞってインターネットの敷設事業に参入し競争が激化してきたため、ソフトバンクに事業を譲渡。現在の主力事業であるホテル向けビデオ・オン・デマンド用のセットトップボックスの製造と販売を始めたのが2002年。もう一つの主力のデジタルサイネージ(電子看板)事業を開始したのが2008年である。



今回の凸版印刷との協業に用いるコンテンツ配信システム「NEXT GENEREATION HOSPITALITY」は、次世代のホスピタリティを提供するプラットフォームで、将来的には50億円の売上を見込む。また、直近では、シンガポールの建築会社と協業で、ホテルの設備制御のIoT化をめざす。



「10年前、アマゾンが今のような大企業になるとは誰も予想しなかったですよね。古本のネット販売の会社だと思っていた。我々も、過去から培ってきたもので現状何ができるかを考えて、市場に貢献していくために軸足を変えていく。今我々が何屋かということもあまり関係がない。今のままでは売上10億円足らずの開発メーカーに過ぎません。積極的に投資し、根本的にやり方を変えて新しい事業へチャレンジすることで市場の求めるものを提供していきたいし、我々にはそれができると思っています」と語る藤吉社長の目は輝いていた。