■業績動向と今後の見通し



2. 2020年3月期の通期業績見通し

2020年3月期第2四半期決算の順調な進捗を受けて、ムサシ<7521>は通期の利益見通しを上方修正した。新しい予想は、売上高38,137百万円(前期比2.7%増)、営業利益1,375百万円(同348.2%増)、経常利益1,423百万円(同267.6%増)、親会社株主に帰属する当期利益1,048百万円(同470.9%増)となっている。



通期予想の修正は、第2四半期実績の期初予想比上振れとなった分を調整することが主眼となっている。その結果、下期予想(通期予想から第2四半期実績を引いたもので、正確には通期予想達成の下期所要額)の営業利益は248百万円で、これは期初予想とほぼ同じ値となっている。



しかしながら、下期の業績予想、ひいては通期の業績予想が再度上方修正される可能性があるかと言われれば、そこは慎重にみておくべきと弊社では考えている。第2四半期の業績上振れはひとえに選挙システム機材事業が上振れたことが要因で、他の事業は期初予想を下回るものが多かった。下期は国政選挙が予定されていないため、選挙システム機材事業は収益水準が低下するだけでなく、計画比で業績を上乗せするようなチャンスが少なくなるという状況にある。反対に、それ以外の事業については第2四半期のように計画を下回る可能性がある。下期の事業環境は上期から一変するため、決して楽観はできないということだ。安易な上振れ期待は避けるべきであろう。



とはいえ、通期ベースでは上期の業績の大幅伸長が支えとなり、前期比大幅増益の好決算で着地する可能性は非常に高いと言える。実際の利益額は、会社予想の線から上下に大きくずれることはないと弊社では考えている。





国政選挙スキップ年となれば、前期比減収減益となるが、注目点は印刷システム機材の立て直し。“弱み”を作らないことが重要

3. 2021年3月期の考え方

2021年3月期は、衆院の解散・総選挙がなければ国政選挙スキップ年となる。繰り返し述べてきたように同社の業績は、国政選挙の有無に大きく左右されるため、国政選挙スキップとなれば前期比減益になる可能性が高いと弊社ではみている。



しかしながら、仮にそうなった場合でも悲観は全く不要だ。選挙関連ビジネスにおける強さという同社のコアな部分は全く変化が無く、業績変動は需要(選挙)サイクルの結果でしかない。次回において過去を更新できるかどうかがポイントであり、そこに自信を持つことができれば減益局面はむしろ絶好の投資チャンスということができる。こうした考え方は投資家の間では広く認識されている。



むしろ2021年3月期の注視すべきポイントは、同社の課題克服の部分にあると弊社では考えている。課題というのは営業損失を計上している印刷システム機材事業のことだ。早期に出血(営業損失)を止め“弱み”を作らないことが極めて重要だと弊社では考えている。



印刷システム機材事業の立て直しについて同社は、1)印刷機材の販売に関して直販にシフトして収益性を高める、2)印刷機材の中でも特色があって差別化が図れるレーザー加工機等に注力する、3)自社開発の業務管理ソフトなど採算性の高い商品の販売を強化する、の3つを軸に取り組む方針としている。直販シフトは始まったばかりで、成果が出るのはこれからになるが、レーザー加工機の販売は着実に積みあがってきているほか、業務管理ソフトの競争力や収益性については選挙向けの領域で実績が出ている。同社の総力を結集してまずは止血を実現できるかどうかに注目したい。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)