■テックファームホールディングス<3625>の業績動向



2. 事業セグメント別の動向

(1) ICTソリューション事業

ICTソリューション事業の売上高は前年同期比5.6%減の2,291百万円、セグメント利益は同21.4%減の503百万円となった。NTTドコモ向けで過去2年間続いたAI関連の大型開発案件が落ち着いたことを主因として減収減益となったが、コンサルティングやサービス設計など上流工程も含めた高付加価値案件の受注は順調に伸びており、利益率では22.0%と前年同期の26.4%に次ぐ高い収益性を維持している点は注目される。ここ数年取り組んできたプロジェクト管理の強化や、IoTやAIなど先進技術を基盤としたサービス設計を含めたソリューション提案の成果が、収益性の向上になって表れているものと考えられる。



売上高を分野別で見ると、NTTドコモ向けが前年同期比29.7%減の574百万円、金融向けが同4.9%減の484百万円、エンタメ・スポーツ向けが同123.1%増の464百万円、その他が同13.8%減の769百万円となった。エンタメ・スポーツ分野については、大手芸能プロダクション向けとの取引が多く、ファンづくりのための交流サイトやビッグデータなどを活用したシステムの開発案件が増加した。



5G関連の開発案件では、「ストレスフリーのスマートオフィスづくり」「リアルタイムの動態管理(カメラ、ビーコンを活用したデータ収集)」「メディア上での動画インタラクティブ活用(大手通信キャリア向け)」「MR※デバイスを活用した技術検証」といった案件が進行中であり、また、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する開発案件の引き合いもここにきて中小企業、特にデジタル化が遅れていると言われていたレガシー産業に属する企業から増えてきている。同領域は上流工程であるビジネスプラン作りから入る必要があるが、DX案件を推進するうえで要となるビジネス設計に強い人材を採用し、今後、積極的に受注拡大を進めていく方針となっている。



※MR(Mixed Reality:複合現実)…現実空間と仮想空間を混合し、現実のモノと仮想的なモノがリアルタイムで影響し合う新たな空間を構築する技術全般を指す。





そのほかにも、IoT関連では2019年12月に米VANTIQ, Inc.との間で、イベント・ドリブン型アプリケーション開発プラットフォーム「VANTIQ(バンティック)※」の販売パートナー契約を締結したことを発表、テックファームが提供するIoTプラットフォーム「MoL(モル)」との連携により、ビルや商業施設、街全体をリアルタイムに結ぶ「スマートシティ」サービスの提供を開始している。



※「VANTIQ」は、無秩序に発生するイベント(利用者の操作や他のプログラムが実行した処理)をリアルタイムに自動処理するアプリケーションを開発できるプラットフォーム。アプリケーションの開発は視覚的・直感的な操作により、短期間で簡単に行うことができる。「MoL」との連携により、「MoL」を通して得られた街の情報を「VANTIQ」が迅速に処理し、例えばレストランの混雑状況に応じて空席のある近隣の飲食店情報を届けるといったシステムを安価に提供することが可能となる。





AI関連では2019年に出資した大学発ベンチャーの(株)ギャラクシーズ(出資比率34.0%)との協業も進んでいる。ギャラクシーズではカメラ画像による位置情報分析や製造ラインの不良品検査、MRデバイス向け検証などのAIアルゴリズムの開発を行っている。同社はこれらアルゴリズムを実装したシステムを開発しており、受注案件も増加傾向にある。



(2) 自動車アフターマーケット事業

自動車アフターマーケット事業の売上高は前年同期比8.6%減の539百万円、セグメント損失は131百万円(前年同期は139百万円の損失)となった。のれん償却39百万円がなくなったため、実質ベースで損失は32百万円拡大したことになる。



売上高は自動車整備業者・鈑金業者向け整備システムが堅調に推移したものの、売上単価の高いガラス商・部品商向けシステムが開発遅れにより販売時期が下期以降にずれ込んだことが減収要因となった。高い利益率が見込まれるガラス商・部品商向けシステムの販売が後ろ倒しになり、整備システムにおいても個別ユーザーの要望を受けた追加機能搭載やカスタマイズによって開発コストが増加し、減益要因となった。



(3) 農水産物輸出ソリューション事業

農水産物輸出ソリューション事業の売上高は220百万円、セグメント損失は118百万円(うち、のれん償却73百万円)となった。



主な販売先はシンガポールと香港になるが、このうち香港での新規販路開拓が民主化デモの影響で進まなかったこと、また、国内での天候不順や台風被害によって高品質な果物の調達が十分できなかったことで、売上高は当初計画比で3割減となった。同社では天候リスクの影響を軽減すべく、取扱商品を水産物や水産加工品、日本酒等の酒類にまで品目を拡大し、現地小売店や外食事業者に拡販を進めている。売上高が計画に届かなかった要因は、輸出支援システムの開発遅れであるが、同システムについては開発が長引いているようで、実務で利用できるレベルでの完成は2020年6月頃を目標としている。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)