■CREロジスティクスファンド投資法人<3487>の財政状況



1. LTV

LTV(Loan to Value)とは「総資産有利子負債比率」のことであり、LTVが低いほど財務健健全性が高く、銀行からより多くの融資を引き出しやすいとされている。既述の4物件取得により、同投資法人のLTVは2019年12月期末の47.7%から2020年12月期末に45.6%(前期末比2.1pt減)となる見通しである。また、平均借入金利は2019年12月期末の0.510%から2020年2月の新規借入れ後には0.532%に若干上昇したが、長期の借入れを推進していることから、平均残存年数は2019年12月期末の2.6年から2020年2月の借入後には3.3年に延びた。上場時に「受託資産残高(AUM)を1,000億円程度まで成長させる過程において、LTVを45%程度まで引き下げる」とする中期的な方針を示していたが、それをほぼ実現する格好となった。



2. 巡航DPU

2019年12月期の1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)(DPU)は3,012円となった。期初計画は2,940円、2019年6月に行った第1回公募増資及び資産取得により2,990円に増額修正していたものの、さらに上振れて着地した。また、2020年6月期(第8期)の1口当たり分配金は期初計画の3,029円から3,040円(前期比0.9%増)に増額修正、2020年12月期(第9期)の計画は3,263円としている。また、一時的要因(今回取得した4物件の固定資産税等)を調整した巡航分配金は、3,160円としている。つまり、2期連続の増資の結果、1年間で巡航DPUを2,940円から3,160円に7.5%引き上げる計画となっている。



2019年12月期の1口当たり利益分配金(利益超過分配金を含まない)(EPU)は2,647円(期初計画は2,568円)となった。また、2020年6月期(第8期)は期初計画の2,664円から2,726円(前期初計画比3.7%増)に増額修正、2020年12月期(第9期)は2,940円(同10.4%増)を見込んでいる。また、巡航EPUは2,837円とし2019年12月期の期初計画と比較し、1年間で10.5%引き上げる計画となっている。



今回のDPU成長とLTV引き下げを組み合わせた設計は、同投資法人に求められた期待どおりの内容であり、評価要因となると弊社では見ている。



3. NAV

NAV(Net Asset Value)はREITの鑑定評価額を反映した純資産総額を表しており、これを発行済み投資口数で割った値が1口当たりNAVとなる。2019年6月期(第6期)末の1口当たりNAV は118,187円、第1回公募増資後の2019年12月期(第7期)末は122,212円、第2回公募増資後は129,163円※となり、2019年12月期末と比較した1株当たりNAVの増加率は5.7%となった。



※第2回公募増資後の1口当たりNAVは、(2019年12月期末時点のNAV+発行価額の総額+新規取得資産の鑑定評価額合計−新規取得資産の取得価格合計)÷本発行後の発行済投資口の総口数により算出。





4. ポートフォリオの分散

ポートフォリオはスポンサーであるCREが100%開発した施設で占められているものの、このクオリティを維持しつつ、ポートフォリオの分散が進展している。第2回公募増資により取得した4物件については、初の外環道エリアとなる「ロジスクエア草加」「ロジスクエア八潮」の2物件、東京西多摩エリアとなる「ロジスクエア瑞穂A」「ロジスクエア瑞穂B」の2物件となった。これらは首都圏重視のポートフォリオ運営には変わりないが、その中でエリア分散を図ることができたことが特徴である。また、賃貸面積ベースによる上場時7物件の上位5テナント比率が67.8%となったことに対し、第2回公募増資後13物件の上位5テナント比率は初めて5割を下回り48.9%に低下するなど、テナント分散も図られている。さらに賃貸借期限の分散にも注力している。第2回公募増資後は各期まんべんなく分散されていることに加えて各期の割合も小さくなっていることから、集中度合いが緩和されていると言えよう。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)