1. 2020年3月期決算の概要

(1) 損益状況

エレマテック<2715>の2020年3月期決算は、売上高175,654百万円(前期比4.2%減)、営業利益4,765百万円(同24.8%減)、経常利益4,499百万円(同27.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,263百万円(同3.0%減)と、減収減益となった。2020年3月期においてはコロナの影響は軽微であった。



2020年3月期の事業環境としては、米中貿易摩擦の激化による影響が懸念されていたが、顧客側の事情によるスマートフォン関連部材の落ち込みなど、同社固有の事情による影響がより大きく出たと言える。一方で売上高を伸ばした事業・製品もあり、既述のように同社の扱う商材や顧客層の広さによって不振の商材をカバー出来たと言えるだろう。



利益面では、売上総利益率は前期の10.0%から9.8%に低下したが商品構成の変化による。販管費は前期比2.8%増となったが、売上高が減少したことから販管費率は前期の6.6%から7.1%へ上昇した。販管費の増加(337百万円)の内訳では、人件費が268百万円増となったが、人員増に加えて給与体系の見直しの影響もあった。荷造運賃は35百万円の減少となったが、人手不足等により単価がアップしているので、減収(数量減)の割には低下しなかった。その他費用は104百万円増加したが、2019年3月期に貸倒引当金の引当率の見直しを行ったことによる戻入益が発生し、この反動によって生じた貸倒引当金繰入額の増加が主な要因となっている。この結果、営業利益は同24.8%減の4,765百万円となった。



(2) 地域別状況

地域別売上高は、国内が98,211百万円(前期比2.2%増)、中国が33,061百万円(同21.4%減)、その他アジアが34,323百万円(同3.3%増)、欧米が10,057百万円(同16.0%減)となった。またセグメント利益は、国内が2,169百万円(同26.4%減)、中国が827百万円(同38.7%減)、その他アジアが1,087百万円(同8.6%減)、欧米が355百万円(同10.1%減)となった。



中国から米国への輸出停止などの影響で中国向けの落ち込みが全体の業績に大きく影響したが、国内は増収にも関わらず減益となっており、利益面では国内向けも足を引っ張ったと言える。これも商品構成の変化によるもので、2020年3月期については比較的利益率の高かった商品構成が低下したことによる。



(3) 財務状況

流動資産は86,276百万円(前期末比4,218百万円減)となったが、主に現金及び預金の減少2,327百万円、受取手形及び売掛金の減少2,502百万円、たな卸資産の増加554百万円などによる。たな卸資産の増加は、コロナの影響により2020年3月末に顧客からの出荷延期要請等があったことによる。固定資産は5,504百万円(同332百万円増)となったが、主に有形固定資産の増加795百万円、無形固定資産の減少219百万円、投資その他の資産の減少244百万円による。この結果、2020年3月期末の資産合計は91,781百万円(同3,886百万円減)となった。



一方で、負債合計は40,885百万円(前期末比4,725百万円減)となったが、主に流動負債のうち、支払手形及び買掛金が4,562百万円減、短期借入金が83百万円減、固定負債182百万円減などによる。支払手形及び買掛金の減少は取引先との支払い条件の変更等の特殊要因などではなく、2019年3月末が銀行休業日だったことから、支払いが4月にずれた影響で一時的に2019年3月期末の買掛金と仕入債務が増加し、この反動が2020年3月期末に表れたためである。純資産合計は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,830百万円などを受けて50,896百万円(同839百万円増)となった。この結果、2020年3月期末の自己資本比率は55.5%(前期末52.3%)となった。



(4) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは398百万円の収入となった。主な収入は、税金等調整前当期純利益の計上4,472百万円、減価償却費528百万円、売上債権の減少1,711百万円など。主な支出は、たな卸資産の増加861百万円、仕入債務の減少3,612百万円などとなっている。



投資活動によるキャッシュ・フローは309百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得308百万円など。財務活動によるキャッシュ・フローは1,747百万円の支出だったが、主な支出は配当金の支払額1,432百万円による。この結果、現金及び現金同等物は2,327百万円の減少となり、2020年3月期末残高は23,387百万円となった。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)