■業績動向



1. 2020年3月期の連結業績概要

nmsホールディングス<2162>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比8.4%増の62,611百万円、営業利益が同67.8%増の920百万円、経常利益が同4.8%減の541百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.5%減の280百万円であった。営業外収支が前期の20百万円の入超から378百万円の出超に転じたことで、経常利益が減少した。営業外収益では、助成金収入(127百万円)が計上されたものの、前期あった消費税差額(400百万円)がなくなり268百万円減少した。営業外費用は、支払利息の増加(83百万円)もあって131百万円増えた。営業利益が大きく増加したこともあり、インタレスト・カバレッジ・レシオは、6.9倍と金利負担の支払能力が高まった。



決算発表1ヶ月前に業績予想を下方修正しており、実績はほぼその線で着地した。ただし、期初計画との比較では、期末の新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、大きな乖離が生じた。



事業別の動向を、以下に述べる。



(1) HS事業

HS事業は、売上高が21,685百万円(前期比12.2%増)、セグメント利益が693百万円(同253.2%増)の大幅増となった。前期は新たに立ち上げた物流3PL受託・テクニカル流通加工事業や技術者派遣専門会社の先行投資負担が重かったが、当期は収益回復に貢献した。海外事業は、インドネシア及びラオスにおける事業立ち上げの初期コストが発生したものの、ベトナム拠点での労働生産性改善とASEAN及び中国が堅調に推移した。



HS事業は、第3四半期まで堅調に推移した。第4四半期(1月−3月期)に入って、当初想定していなかったコロナショックが発生し、外国人技能実習生の管理受託業務が計画を大きく下回った。同事業規模は、前期末の約300人から当期末に3,000人へ増やすことを計画していた。実際は、コロナショックによる入出国制限を受け、前期実績を若干上回る水準にとどまった。世界保健機構(WHO)は、3月11日に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)宣言をした。この時点で、感染症は114の国と地域に広がっていた。日本政府は、3月18日に38ヶ国からの入国者に14日間の待機や公共交通機関の使用自粛を要請した。成田空港の旅客数で見ると、2月は前年同期比15%減、うち訪日客が35%減、3月が同67%減、うち訪日客が同82%減と減少幅が拡大した。



(2) EMS事業

EMS事業は、売上高が27,046百万円(同4.8%増)、セグメント利益が33百万円(同92.3%減)となった。白物家電関連を中心にASEAN及び中国が堅調に推移したが、重点施策を進めているベトナム、米国・メキシコ拠点の立ち上げに関わるイニシャルコストが重く、大幅な減益となった。設備投資は計画どおり実行したものの、計画していた増収を実現できず、減価償却費の増加が収益を圧迫した。米中貿易摩擦により、製造業に「チャイナプラスワン」の動きが強まり、ASEANへの生産移管のメリットを受けた。一方、半導体関連ビジネスでは、中国の生産品の対米貿易に支障が起き、売上数量減を引き起こした。



(3) PS事業

PS事業は、売上高が13,879百万円(同10.1%増)、セグメント利益が698百万円(同57.6%増)と好調であった。販売が堅調に推移したうえ、前期の部材費高騰の一部を売価に転嫁したことと構造改革による固定費圧縮、業務の見直しなどが収益改善に寄与した。既存品の需要調整と新規分野への製品投入までの端境期を、ようやく脱出した。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)