■今後の見通し



1. 2021年3月期の業績予想

nmsホールディングス<2162>の2021年3月期通期の連結業績予想は、未公表となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、3月期決算企業の約6割が期初予想の公表を控えている。同社にとって、国境をまたぐ人の移動の制限が緩和・撤廃される時期や顧客の生産計画が固まらないと、合理的な予想を立てるのが困難なためだ。大まかには、上半期にコロナショックの大きな影響を受け、下半期に回復するというシナリオになる。緊急事態宣言期間中の操業停止から、6月以降のリカバリー生産の規模を注視している。顧客の動向を日々把握し、機会損失が生じないよう気をつけている。売上高の大きな減少は避けられても、HS事業では顧客先の生産停止中も従業員の給与補償などの費用が発生しており、利益面での影響を受けるもようだが、固定費削減などで一時的な影響にとどめ、下期にリカバリーするとしている。



(1) 国内事業

国内市場は、生産現場がまだら模様を呈している。自動車関連は、生産縮小の方向にある。2019年度における日系自動車メーカー8社の世界生産台数は2,634万台、前年度比7.6%減となった。内訳は、国内が903万台、同2%減、海外が1,730万台、同10%減であった。2020年度も厳しい展開となりそうだ。需要が低下しているところにコロナ禍が発生したことから販売が振るわず、海外工場の閉鎖を発表する自動車メーカーが出てきた。一方、車載系を除く半導体・電子部品関連は生産計画を維持している。米中貿易摩擦により急激ではないものの、5Gの普及もあって回復が続くと見ている。通信関連や医薬品、トイレタリーなどの業界向け製造派遣や請負が増加傾向にあり、一部物流など繁忙な業種では人手不足が続いている。開発系の技術者派遣は計画を維持しながら推移する見込みだ。全体では、売上減に備えて固定費削減など緊急施策を実行し、利益への影響を最小限にとどめるよう努める。



外国人技能実習生の受託業務は、アフターコロナを見据えて営業を展開している。厚生労働省が2019年8月に発表した「2018年の技能実習生の受け入れ企業に対する監督指導状況」によると、技能実習生が働く事業所に対して監督指導を実施した7,334事業場(実習実施者)のうち70.4%で労働基準関係法令違反を確認した。法務省と厚生労働省は、外国人技能実習制度の運用を厳格化しており、技能実習生ごとに作成する技能実習計画を認定制とし、実習実施者は届出制、監理団体を許可制とした。外国人技能実習機構(OTIT)を許可法人として新設し、技能実習計画の認定や、実習実施者・監理団体に報告を求め、実地検査をし、実習実施者の届出受理、監理団体の許可に関する調査などを行う。技能実習生の受け入れには、6〜9ヶ月程度かかる。仮に、今年の6月から7月に外国人技能実習生が入国すれば、今下半期に受託業務に就かせることができる。



(2) 海外事業

HS事業は、中国の拠点となる上海、深セン、広州、無錫のいずれも業務を再開し、顧客の動向を見ながら水準を回復する。タイ及びベトナムは、政府方針に則り業務を推進しており、顧客の生産動向を見ながら稼働対応する。



EMS事業は、中国が2月10日より通常稼働に戻った。部材や物流などサプライチェーンの停滞は解消されたが、国境を越える人の移動に制限があり、顧客の立ち会いが必要な新製品立ち上げや生産開始に、スケジュールの遅れが見られる。物流コストの上昇などの影響が見込まれるため、固定費の見直しなどの対応を実施する。マレーシアは、政府方針に沿い3月18日に稼働を停止し、5月4日から徐々に稼働を再開している。約1ヶ月半の稼働停止及び顧客の生産調整・需要減速による売上減の影響があると見る。ベトナムは、生産が継続している。国境を越えた人の移動の制限による新製品の立ち上げや生産スケジュールの遅れで、低水準の稼働になっている。新規受注の生産立ち上げに加え、投資計画の見直しを行い、影響を抑える。米国は、5月15日時点でオフィス、ロジスティクス機能とも問題なく稼働している。間接人員には、在宅勤務を推奨している。メキシコは、政府方針に則り4月2日より稼働を停止したが、その後現地状況に応じてフレキシブルな対応を行っている。当期は先行投資時期に当たり売上減などの影響は見込んでいない。業績の寄与は、2022年3月期からを計画している。



PS事業は、中国が2月10日より通常稼働に戻った。顧客の稼働停止による売上減少の影響を見込む。固定費の見直しなどの緊急施策を行い、影響を抑える。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)