■要約



3. 2021年5月期通期の業績予想

ドーン<2303>の2021年5月期通期の業績は、売上高で前期比4.8%増の1,100百万円、営業利益で同13.8%増の330百万円、経常利益で同13.3%増の333百万円、当期純利益で同13.0%増の226百万円を予想する。実現すれば6期連続の増収増益となる。2021年5月期もクラウド型サービスの成長を見込んでおり、既存顧客からの利用料収入に加え、新たな契約の獲得に伴う受託開発収入が期待できる。主力の「NET119緊急通報システム」に関しては、総務省消防庁からの後押しもありさらに地域展開が進展する見込みだ。また全国的に自然災害が多発するなか、同社のクラウド型災害情報共有サービス「DMaCS」の有効性が検証されており、自治体での横展開が着実に進展する。政府が全省庁のシステムを2020年秋から順次クラウドに切り替える方針を出していることも追い風となりそうだ。次期主力サービスの期待がかかる映像通報システム「Live119」「Live110」に関しては、一部地域からスタートするため、本格的な業績貢献は来期以降になりそうだ。営業利益率に関しては、前期以上の30.0%(前期は27.6%)を予想している。クラウド利用料の売上構成比が4割を超えての着地が予想されるなかで、収益性がさらに向上しそうだ。弊社では、ストック型収入(定常収入)が約4割を超えてくる点や公共の防災・防犯システムがメインである点から、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ)の影響による景気下降などの影響を受けにくいため、業績予想の下振れリスクは低いと考えている。むしろ例年通り、期初予想から上振れて着地する可能性が高い。



4. 次代を担うサービスと成長シナリオ

2020年7月、次世代主力システムと期待される映像通報クラウドシステム「Live119」の本運用が神戸市消防局・小野市消防本部で開始された。「Live119」は、同社が開発した消防機関向け映像通報システムであり、119番の通報者がスマートフォンによるビデオ通話を行い、通報現場の状況を撮影し消防に伝送するシステムである。消防管制室は、通報者が撮影する映像から通報現場の詳しい状況(事故・火災や傷病の様子)を確認し、音声による通報だけでは把握が難しい視覚的な情報をリアルタイムに収集でき、通報者への効果的な口頭指導を支援する。専用アプリを事前にダウンロードする必要がなく、一般市民にとって心理的な余裕がない緊急通報の際にも簡単な操作で利用できるよう配慮されている。



神戸市・小野市以外にも全国の多数の消防で導入が検討されている。日本最大の規模を誇る東京消防庁もその一つである。来夏の東京オリンピック・パラリンピック前の運用を目指し、2020年9月から「Live119」を試験導入する方針を固めた(読売新聞2020年7月28日)。海外から多くの人が訪れるなか、日本語で説明することが難しい外国人が119番した場合でも、映像で現場の状況が把握できるメリットが期待されている。



近年の成長を支えてきた「NET119」は全国の消防組織に広がり、管轄人口ベースで約50%に普及した。一方、今後は都市部以外を含めた展開となるため、自然と拡大ペースは鈍ることが予想される。同社では、「NET119」の勢いが鈍る2022年5月期前後から「Live119」のほか、警察向けの「Live110」の拡大を加速させ、全社として切れ目なく成長する中長期のシナリオを描いている。



5. 株主還元策

同社は、安定的・継続的な株主還元を方針としている。2016年5月期以降は、好調な業績を背景に増配を続けてきた。2020年5月期の配当金は、期初予想で年8.5円(前期比1.0円増配)だったが、上方修正され10.0円(同2.5円増配)となった。配当性向は15.9%(前期は15.3%)。2021年5月期は、配当金年11.0円(前期比1.0円増配)、配当性向15.5%を予想する。過去5期連続で期初の配当予想を上方修正しており、2021年5月期も業績が順調であれば増配が期待できる。



■Key Points

・主力の「NET119緊急通報システム」は全国の消防で導入され、人口カバー率約50%に到達

・2020年5月期は、防災や防犯関連のクラウドサービスがけん引し5期連続の増収増益を達成

・2021年5月期は各利益が二桁成長予想。クラウド利用料が4割を超え、営業利益率30%を見込む

・次代の成長を担うクラウド型映像通報システム「Live119」が神戸市等でスタート。東京消防庁も試験導入方針



(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)