「あぶくま抄」【福島民報】

帰還兵(8月12日)昔、近所の一人暮らしの高齢男性が毎夜のように「バカヤロウ」と大きな声で繰り返していた。顔を合わせれば穏やかな顔。何に怒りをぶつけていたのか。もしや−と感じたのは4月、日経新聞で作家平野啓一郎さんの「『かみなりおやじ』は誰?」というコラムだった。何かにつれ大声で怒鳴るおやじは、かつて身近にいた。市井の規範のような存在もあったが、突然怒り出して子どもを怖がらせる人もいた。平野さんの祖父には、家族に対して時に暴力を伴う感情の爆発があった。それは過酷な戦争体験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)ではなかったかと振り返る。平野さんが紹介する「帰還兵はなぜ自殺するのか」(デイビッド・フィンケル著、亜記書房)にはアフガニスタン・イラク戦争の帰還兵がPTSDに苦しむ姿がつぶさに描かれる。派兵200万人の4分の1がPTSDという。登場人物の祖父もヨーロッパ、朝鮮半島、ベトナムで戦った沈黙と暴力の人だった。本紙の夏の決まり事である戦争に関する連載が貴重な証言を伝えている。だが歴史の奥に埋もれた事実も多いはずだ。語られなかったことの重みも感じなければならない。

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