今年の県内経済はどうなるのか。経済人はどう見通しているのか。福島民報が六日から十四日まで掲載した広告企画「2020ふくしまトップインタビュー」を読むと、トップが発するキーワードから時代の潮流が見えてくる。

 当面の危機は回避されたものの、米国とイランの対立に伴う中東情勢の緊迫や、米中の貿易摩擦はいつ再燃するか分からない。大規模な気候変動や少子化・人口減の影響からは本県経済も逃れられない。常に先を見ようとするトップの言葉は、誰にとっても不透明な時代に判断し、物事を進めるためのヒントになるはずだ。

 震災と原発事故、昨年の台風被害などの足かせを抱える本県経済だが、今年はJR常磐線の全線開通、東京五輪の聖火リレーや野球・ソフトボールの開催、古関裕而さんをモデルとする連続テレビドラマ放映など明るい材料も多い。復興を確かな歩みにする足掛かりにしたい。今年、インタビューに登場してくれた七十九人のトップの皆さんからも決意が伝わってくる。

 台風19号とその後の大雨が大きな爪痕を残したことを踏まえ、災害への十分な備えへの自覚と警鐘がある。有事に事業を継続するための日頃からの体制づくりはもちろん、二十四時間三百六十五日の安全・安心の確保や高齢者の避難支援といった、より高次な目標も掲げられた。

 気候変動とエネルギーの問題は密接だ。地球温暖化を踏まえて、再生可能エネルギーの拡大、エネルギーの「自産自消」といった姿勢は供給、消費の双方にとって当然な流れになりつつある。住宅を提供する立場からは、省エネも健康を損ねる温度差解消も両立すべき課題だ。持続可能な開発目標(SDGs)は幅広い層の共通命題と言える。

 働き方改革を進めながら会社を存続させるには、これまでの職場の常識を壊さなければならない。トップは男性の育児休暇、副業の奨励、外国人雇用、健康経営といった課題にも目を向けている。取り組みが見えてこそ、社会から家庭と地域を支える企業として認められるのだろう。

 環境の変化に対応できたものが生き残るという進化論の「適者生存」の概念は、経済活動でもよく例えられる。インタビューには「変えてはいけない部分と変化に対応すべき部分を見極める」という言葉があった。会社として地域に存在する意義は何なのか。原点や経営理念を突き詰めながら変化に対応することが重要だ。トップの踏ん張りに期待する。(佐久間順)