十五日にマレーシアから帰国したバドミントン男子シングルス世界ランキング一位の桃田賢斗選手(25)=NTT東日本、富岡高出身=は、多くの報道陣やファンが詰めかけた成田空港で、しっかりとした足取りを見せた。東京五輪に向け、三月の実戦復帰を目指す桃田選手に、県内関係者から「まずは治療に専念してほしい」と気遣う声が寄せられた。

 桃田選手は十五日午後六時ごろ、成田空港のロビーに姿を現した。フロアいっぱいに集まった報道関係者やファンら数百人に対し、軽く会釈してから、落ち着いた様子で、関係者に付き添われて歩みを進めた。

 出迎えた日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事に握手され、背中をぽんぽんとたたかれると、関係者用の出口に向かった。事故による肉体的、精神的な影響も考慮され、厳戒態勢の中で見送られた。黒の野球帽、薄い色のサングラス、マスク姿だったため、表情はうかがえなかったが、眉間には痛々しい裂傷が見て取れた。

 報道陣のカメラが一斉にシャッター音を響かせた。大勢のファンもスマートフォンを向けた。「桃田選手−」「体は大丈夫ですか」などの声も上がった。

 出迎えに来たNTT東日本の須賀隆弘監督は「本当に無事で良かった。ご心配をお掛けしました。温かく見守っていただければと思います」と話した。

 桃田選手は今後、磁気共鳴画像装置(MRI)などの精密検査を受けてから、治療に専念する予定。日本バドミントン協会は三月の全英オープン(バーミンガム)での実戦復帰を目指しサポートしていく。

■「体のケア最優先に」 気遣う福島県内関係者

 桃田選手を知る県内の関係者は状況を静かに見守っている。

 富岡高時代に指導した広野町のふたば未来学園高バドミントン部の本多裕樹監督(35)は「試合で戦える体をつくれるよう、体のケアを最優先に治療に専念してほしい」と願う。

 「これからも気丈に振る舞うと思う」と、高校時代、負けず嫌いで他人に弱みを見せなかった教え子の姿を思い浮かべる。「少しずつ安心できる情報が増えてきて、少しほっとしている。きっと逆境をはねのけ、彼らしいプレーを見せてくれるはず」と話した。

 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故後、桃田選手が寮生活を送った猪苗代町の宿泊施設「あるぱいんロッジ」の平山真さん(71)は帰国のニュースを受け、「取りあえずほっとした。彼はこれまで震災など困難をくぐり抜け、力強くなってきた。今回も気持ちを強く持って乗り越えてほしい」と信じる。

 県バドミントン協会の吉田邦男会長(77)は郡山市の自宅で、桃田選手の帰国を伝えるテレビのニュースに見入った。「思ったより元気な姿を見られて良かった。日本でしっかり再検査をしてもらってほしい」と語った。