福島民報社が初めて募集した二〇一九年度の「小中学生まちづくり大賞(ふくしまジュニアチャレンジ)」に、県内全域から百三十三件の応募があった。児童のアイデアを実現したいと検討を始める自治体も現れた。子どもの夢や意見を、未来の地域振興に向けた新たな指針の一つとして生かしてほしい。

 鮫川村の五、六年生五十八人は十四のグループに分かれ、古里の活性化策を描いた。「自然を生かした施設を整備して」「アスレチックランドを設けてほしい」「観光名所を巡るツアーを実施すれば活気が生まれる」。村は冊子にまとめ、村内の全世帯に配布した。

 昨年八月に就任した関根政雄村長は、若い世代を中心とした村内からの人口流出に危機感を抱いている。過疎の流れを食い止め、次代の地域づくりを進めるためには、従来と視点を変えて取り組む必要があると訴える。注目しているのが、先入観や慣例にとらわれない子どもや若者の自由な発想だ。

 今回集まったアイデアを「宝の原石」と位置付け、村の中心地活性化協議会などで具体化の道を探っていく。村民には、古里の未来を担う世代が抱く構想にぜひ触れて、意見を交わしてもらいたい。さらに、村の取り組みが中山間地域の自治体にとって、手本となるように期待する。

 銀賞に輝いた川俣町・福田小の六年生は、二〇二一(令和三)年度末に閉校する見通しの母校を病院として再利用する案をまとめた。空き校舎を解消すると同時に、医療を充実させるユニークな提案だ。復興庁は十九日、東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された川俣町山木屋の住民意向調査結果を公表した。「帰還を判断するため必要なこと」を聞いたところ、「医療機関の充実」との回答が目立った。町内に住む児童の着眼点に、暮らしやすいマチをつくるヒントが隠れているかもしれない。

 ふくしまジュニアチャレンジ審査委員長を務める前川直哉氏(福島大教育推進機構特任准教授)は、南相馬市小高区と川内村で学生が住民に学び、地域課題の解決の方策を考える授業を続けている。東日本大震災と原発事故から九年が経過し、復旧・復興の各種事業に携わってきた関係者に少し息切れが出てきたと感じているという。

 こうした中、若い世代の活躍が大きな刺激に変わる。あらゆる年代がともに知恵を出し合い、震災前に増して活力にあふれた県土の基盤を構築すべきだ。(菅野龍太)