東京電力は二十四日、福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分手順の素案を公表した。政府小委員会が提言した二つの処分方法のうち、海洋放出の場合は原子炉等規制法で定めた環境放出の基準値の四十分の一未満に薄めて流す。大気への水蒸気放出では基準値未満に希釈する。どちらの方法を導入した場合でもモニタリング体制を強化し、測定結果を公開するとした。

 海洋放出のケースでは、二次処理を施してトリチウム以外の放射性物質の大部分を除去し、採取した海水と混ぜて五百〜六百倍に薄める。トリチウム濃度は現在、福島第一原発でくみ上げた地下水を海洋放出する際の濃度と同じ一リットル当たり一五〇〇ベクレル未満にする。法に定められた放出の基準値は一リットル当たり六万ベクレルだが、大幅に希釈することで風評被害の抑制につなげる考え。

 水蒸気放出の場合、二次処理後にボイラーで加熱して蒸発させ、空気と混ぜて排気筒から出す。トリチウム濃度は大気に放出する際の基準値、空気一リットル当たり五ベクレル未満にする。

 いずれも放出後にモニタリング調査を徹底し、環境への影響を監視する。大量の処理水を一度に処分することはないとしている。

 東電は二次処理の効果を確かめる実証試験を二〇二〇(令和二)年度後半にも実施する方針。十二日時点でタンク保管している処理水は約百十九万トンで、このうち約七割はトリチウム以外の放射性物質濃度が基準値を超えている。二次処理の実証試験は特に濃度の高い処理水二千トン程度を対象とする。

 東電は福島第一原発からの海洋放出による拡散予測も示した。年間百兆ベクレルを放出するケースは【図】の通り。トリチウム濃度が海水一リットル当たり一〜一〇ベクレルとなる範囲は北側約十キロ、南側約二十キロ、沖合二キロまでと予測した。水蒸気放出はモデルがないとした。

 東電は今後、政府が自治体や業界団体などから意見を聞く会合で素案を説明。出席者が意見を表明する際の参考にしてもらう。