政府は新年度、東京電力福島第1原発事故の影響で汚染された県内の森林について、除染の対象地域を拡大する。森林の中でも、住民生活と密接に関わる「里山」が対象。主に浜通りのモデル地区で行った実証事業で放射線量の低減が確認されたため、中通り、会津を含む計48市町村に範囲を広げ、林業再生や帰還に向けた環境整備を進める。
 復興庁と農林水産省、環境省が24日、里山再生モデル事業の中間報告と今後の方針を発表した。
 政府は2016(平成28)年から、浜通りを中心に14市町村の計約800ヘクタールをモデル地区に選び、除染の実証に取り組んでいる。このうち相馬、川俣、大熊、楢葉、広野、川内6市町村の6地区で完了した。
 モデル地区では〈1〉除染〈2〉間伐などの森林整備〈3〉放射線量測定―の三つを組み合わせて効果を検証した。除染では、落ち葉など地表に積もった堆積物を取り除く手法を試し、放射線量が3〜41%低減したという。
 このため政府は新年度、モデル事業を「里山再生事業」に発展させる方針だ。遊歩道や森林公園、キャンプ場、キノコ栽培のほだ場を例に「住民が身近に利用し、適切な管理が見込まれる森林」などを条件として除染に本格着手する。
 原発事故で避難指示が出され、国が直轄で除染した地域や、市町村が除染した地域がある計48市町村を対象とする。会津若松、喜多方両市と耶麻、南会津両郡の8町村、金山町は対象外。モデル事業では市町村ごとに1地区のみだったが、複数の地区も認める。復興・創生期間が終わる21年度以降も当面は継続する予定で、1地区当たり3年の実施期間を見込む。