県立博物館の特集展「震災遺産を考える―それぞれの9年」は11日、会津若松市の同館で開幕した。同館を中心に収集された震災関連資料とともに、そこに深く関わった人にも焦点を当てている。4月12日まで。観覧無料。
 震災の記録を後世に伝えるため、同館を中心とする「ふくしま震災遺産保全プロジェクト」で収集された資料約100点を展示している。2015(平成27)年度から始まった特集展は今回が5回目で、資料そのものに焦点を当てていたこれまでと異なり、今回は資料に関わる「人」を大きなテーマとした。同館学芸員が、収集資料に深く関わる7人の被災者に当時の状況などを聞き取り、資料と併せてパネルで紹介している。
 原発事故の影響で、牛舎で飼っていた牛を置いたまま避難した、南相馬市の酪農家のストーリーを紹介するパネルの近くには、初展示のレプリカ「牛がかじった(牛舎の)柱」を展示。避難後に、牛が空腹のあまり柱をかじったとされ、資料は酪農家の無念さや悔しさを間接的に伝えている。
 さらには、ガラスケース中には震災の影響で配達されなかった新聞の束が並び、震災の様子を伝える福島民友新聞なども展示されている。避難所に届けられた新聞を紹介するパネルには「当時は情報がなかった。携帯も充電できなかったでしょうし、新聞の大切さを改めて実感した」と新聞販売店の言葉が記されている。
 会期中の3月1日は講演会&トークイベント「ひなん暮らし―過去・現在・未来」、同20日は防災講座が開かれる。特集展は午前9時30分〜午後5時(最終入場は同4時30分)。月曜日(祝日の場合は翌日)は休館日。