障害者就労支援事業所などを運営するNPO法人しんせい(郡山市)は11日までに、社会価値を生み出す持続的な経営、人づくりなどを行っている取り組みをたたえる日本能率協会の「KAIKA(カイカ)アワード」で特別賞に選ばれた。代表理事の富永美保さん(55)は「(震災と原発事故で)被災した障害者の仕事を知ってもらえる機会になれば」と話している。
 しんせいは2013(平成25)年から、震災後に避難を余儀なくされ、人手不足や仕事を失うなど経営的な課題を抱えた県内の13福祉事業所が協働して取り組む菓子作りや布製品製造のプロジェクトをまとめ、製品の販売などを行っている。焼き菓子の製造販売では、県内12の事業所で製菓や箱作り、販売などを分担する仕組みを整え、大量生産を可能にした。自らが運営する事業所でも、原発事故の影響で双葉郡から避難する25人が働く。
 インターネット販売では復興支援の後押しも受け、一時は売り上げが1000万円にも上ったが、18年にはその半分近くにまで落ち込んだ。「復興支援に頼った事業の在り方から自立しないといけない」と富永さん。5月からは同市逢瀬町の休耕地を使った農業事業に参入し、ブルーベリーの本格的な生産に着手する計画だ。地元の協力も受けながら、6次化商品の開発も見据える。
 しんせいの利用者は避難前、ほとんどが農業に従事していたといい、「いつかまたふるさとで農業をしたい」という思いにもつながる。富永さんは「利用者が夢を諦めず、誇りある人生だったと振り返ることができるような仕事をつくり出したい」と力を注ぐ。