安積高(郡山市)で物理の教諭を務める千葉惇さん(33)は、スーパーサイエンスハイスクール活動の一環として、生徒たちに放射線について理解を深めてもらうための授業を続けている。「子どもたちが放射線への正しい知識を得ることは、故郷への誇りを持つことにつながるはず」。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年目となる新年度以降も、継続していく考えだ。
 千葉さんは本宮高に赴任していた2011年、放射線教育を始めた。原発事故直後で、放射線についての不安が広がっていたためだ。その後、15年に会津高、18年に安積高に赴任してからも、各校で放射線教育を行ってきた。
 安積高では年4〜5時間、物理や課外授業として実施。放射線の性質を知るための実験や、本県で行っている食品検査の結果に加え、第1原発の現状や風評被害の実態など実践的な授業を展開している。
 生徒と共に被災地を訪れる研修も実施したほか、昨年末には、日本物理教育学会が発行する査読付き論文誌「物理教育」に、これまでの授業の成果をまとめた論文を発表するなど、情報発信にも積極的に取り組んでいる。
 原発事故から時間がたつに従い、生徒たちの放射線への関心が下がる一方、幼少時の一時避難した時などの記憶は根強いと感じているという千葉さん。「だからこそ、生徒たちが放射線について客観的に判断できる知識を身に付けることが大切だ」と力を込める。