新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、県内自治体が災害時の感染症対策に苦慮している。住民が身を寄せる避難所が密閉、密集、密接の「3密」を避けられないためだ。昨年の東日本台風(台風19号)で甚大な被害を受けた本県。市町村は避難所運営の見直しなど対策を急いでいる。
 台風による河川の氾濫で最大42カ所に約4000人が避難した郡山市。現在、避難所運営の見直しを進めているものの、「3密」を防ぐには1人あたり3平方メートルのスペースを確保する必要があり、入場時の検温や体調不良の有無で生活場所を分けることなども想定すると、「通常時の4分の1から3分の1程度の受け入れしかできない」としている。
 体温計も品薄が続きゴム手袋や防護服、消毒液なども足りていない。担当職員の増員も必要で、避難者の体調が悪化した際の搬送方法も課題に上がっている。
 国は避難所の過密状態を避けるため、有事の際に指定避難所以外の避難所も開設するよう通知。避難者の検温や問診の実施、避難所を段ボールで区分けするなどの感染対策をまとめたチェックリストも作った。しかし、人的、財政的な課題もあり、自治体の対応は遅れ気味だ。「避難者の健康観察などさまざまな課題が想定される。人員に加え消毒液やマスクなどの資材の確保に一つの自治体で対応するのは難しい」(須賀川市)という声もある。
 県内で感染者の確認数が最も多い福島市は、16日に感染症を踏まえた防災訓練を実施する計画。避難所の分散化や検温による避難者の体調管理などの手順を確認する予定だが、感染症の影響で参加者数を大幅に縮小せざるを得ない状況だ。市危機管理室は「本来であれば大人数で訓練して本番に備えたいが、感染者が出るのも怖い。思うように訓練もできない」と嘆く。
 専門家も警鐘を鳴らす。福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任教授で防災教育が専門の天野和彦氏(61)は「3密」の対応について「絶対的な策は、残念だがない」と指摘。対策として手指や履物の消毒など最低限できることを徹底するしかないとする。天野氏によると、通常の自然災害の場合、避難所はボランティアなど外部からの支援で成り立つ。しかし、感染が拡大する中では「ウイルスを持ち込ませない(持ち込まない)ことが大前提」となり、自主運営が重要になってくる。
 東日本台風で約2カ月間、避難生活をしたいわき市の会社員、男性(65)は自らの経験を振り返り、避難所での「3密」は避けられないだろうと話す。「また水害が発生したら、どこに避難したらいいのか」。被災者からも早急な対応を求める声が上がっている。