新型コロナウイルスの感染拡大に、健常者以上に不安を抱いているのが障害がある人たちだ。「視覚障害者にとっては『手が目』。周囲の物に触れる機会が多く、感染リスクがどうしても大きい」。県内に住む視覚障害者は接触による感染のリスクを心配しながらの生活を強いられており、感染拡大で外出を補助するガイドヘルパーの支援がなくなることに不安を抱く。
 【弱視の伊達・斎藤さん】弱視の障害がある伊達市の会社員斎藤正昭さん(59)は感染への懸念を消せないでいる。職場の製造工場では自分専用の消毒液を置き、持ち場を離れる度に手指を消毒するなど、可能な限り感染防止策を取っているという。
 感染した場合のことも想定するが、入院やホテルでの宿泊療養では「どこに何があるか教えてもらわなければ何もできない」。ガイドヘルパーと呼ばれる外出を助ける人の補助を受けられなくなったり、体温を測る時も表示を読めないなど、不安は尽きない。
 斎藤さんは「どこに何があるか説明してもらうだけでも違う」と話し、多くの人がすぐにできる支援を挙げる。「障害者や高齢者はどうしても弱者になりがちだが、そこまで目線を下ろして考えてもらえれば、誰もが過ごしやすくなる」。斎藤さんはそう願っている。
 【全盲の落語家・桂福点さん】斎藤さんのような障害者の不安を知ってもらおうと公開された落語動画が話題を呼んでいる。動画では、携帯電話のテレビ電話機能を利用して家族や友人に体温計の表示を見てもらったり、ガイドヘルパーを含めた他人と距離を取るため新聞紙を丸めた棒を使って案内してもらうなどの対応を提案している。
 動画を公開したのは、全盲の落語家として知られる大阪市の桂福点さん(52)。桂さんは「視覚障害者の生活をさまざまな人に理解してもらい、弱い人の立場から対策を考えてほしい」と動画に込めた思いを語る。
 桂さんの動画「私を検査に連れてって〜視覚障がい者の不安、わかりますか?」はウェブページから視聴できる。
 新聞紙を丸めた棒を使ったガイドの実践などを紹介した「続・私を検査に連れてって〜同行援護実際編」や、発達障害がある人に手洗いの大切さを理解してもらうための動画なども公開している。