東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分方法を巡り、政府は11日、経団連と旅行、流通の全国組織5団体から意見を聞き取った。風評対策として、出席者が本県に特化した観光キャンペーンの展開や地域振興券の発行、ふるさと納税制度の活用などを提案した。
 政府が県外関係者の意見を聞いたのは初めて。重要課題の風評対策について、全国規模の団体から出された具体的な提案が、政府の打ち出す施策にどこまで反映されるかが焦点だ。
 「観光を振興することで風評被害を最小限に抑えることができればいい」。日本旅行業協会の志村格(ただし)理事長はこう述べ、官民を挙げた本県への観光キャンペーンと、飲食や物販など観光関係先で幅広く使える地域振興券の発行を求めた。
 経団連の根本勝則専務理事はふるさと納税制度に着目。例えば県産農林水産物を購入した場合に制度を適用し、販路拡大を後押しする仕組みづくりを挙げた。
 一方で処分方法を巡っては、政府小委員会が報告した「海洋放出」「大気(水蒸気)放出」の二つの案に対し、出席者から明確な反対意見は出なかった。ただ日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は「国民の安心が得られなければ、放出処分を行わないとの覚悟が必要だ」と念押しした。
 政府による会合は3回目。新型コロナウイルス感染防止のため、テレビ会議方式で開かれた。政府は次回も県外の関係者から意見を聞く方針。