緊急事態宣言の5月31日までの延長が伝えられた会見で、安倍総理は「コロナ時代の新たな日常」という言葉を使った。これはどのような日常で、いつまで継続するのか。今回の放送では加藤厚生労働相をお迎えし、新たな日常の圧迫感の解決に直結する治療薬や医療体制などを中心に、感染症の専門家をまじえて掘り下げた。

緊急事態宣言「月末まで」の根拠と解除基準は

長野美郷キャスター:
緊急事態宣言の期間延長、「5月31日まで」の根拠は?

加藤勝信 厚生労働相:
国民の皆さんの努力のおかげで、1日あたりの国内新規感染者数が200を切るようになった。だが医療はまだ逼迫、決して感染拡大しない水準ではなく、緩めることで元に戻ってしまわないよう引き続き従来同様の対応が必要。対象が全国なのは人の移動があるため。
「5月末まで」の根拠は、平均2〜3週という入院期間。新規感染者が出てから入院・退院するという過程を見て増減がわかるため。しかし5月14日を目途にまた専門家の意見を聞く。緩和も厳しくなることもありうる。

長野美郷キャスター:
安倍総理の発言に則れば、感染者数に関しては100人以下となることが解除のひとつの基準?

加藤勝信 厚生労働相:
感染・死者数が再び急上昇しないための抑制、そして地域によって状況は異なるが医療体制が感染者の増加に対応できるか。これが判断基準。具体的には、新規感染者数、重症者数、診療体制などそれぞれの要素の推移を見て総合的に判断する。
全体のバランスがあるから、それぞれの数字について数値目標を単純には示せない。あまりデジタルに決めてしまい、自粛の強化や緩和が連続的に起きてはいけない。しかし事業・生活に関わることであり、できる限り予見性を高めていく。

吉村大阪府知事は独自の数値目標を発表したが…

反町理キャスター:
一方、吉村大阪府知事が数値目標を発表。10人、7%、60%という数字をどう見る?

加藤勝信 厚生労働相:
知事と政府は違う。政府は緊急事態宣言を発出し、特定警戒都道府県、それ以外の特定都道府県、それらの基準をどうするかという話をする。吉村知事は知事権限において、特定警戒都道府県のひとつである大阪府として休業要請などを行う。各都道府県が一律ではない中、大阪府としての考えを示されたということ。

「新しい生活様式」とは規制ではなく「スマートなやり方」

長野美郷キャスター:
安倍総理の「コロナ時代の新たな日常」という発言。そして専門家会議が提言した「新しい生活様式」の狙いは?

加藤勝信 厚生労働相:
全ての地域で持続的に対応する必要。三密を避けることや、手洗い、オンライン活用など。生活様式の工夫で従来の日常に近い活動も行うことができるから、経済・社会活動を一定程度回復させていきながら感染拡大リスクを抑制するということ。

反町理キャスター:
緊急事態宣言を外れる地域が出てくるかもしれない中、一律に最低限守るべき基本ルールということ?

加藤勝信 厚生労働相:
規制ではなく「スマートなやり方がある」ことを示した。トイレの使用など含め、新しい生活「様式」と言っている。「これをしてはいけない」という内容もあるが、それよりも「こういうやり方がある」ということを示した。

長野美郷キャスター:
いつまでこれを心がければよいのでしょう。

加藤勝信 厚生労働相:
今はわからないが、収束時期まで。一定の長期戦は覚悟している。

業種別のガイドラインでは焼肉も横並びで食べる?

反町理キャスター:
映画館、ジム、コンサート会場など、2週間毎に業種別のガイドラインを出すという話が総理からあったが。

加藤勝信 厚生労働相:
状況に応じて感染拡大を予防しながら事業継続をする方法は、業種ごとに色々。リスク評価や留意点など、専門家会議の基本的な考え方に則って工夫して作ってもらいたい。

反町理キャスター:
生活様式のところで「食事は横並びで」とあった。業種ごととなると、例えば焼肉店の場合は通常4人でコンロを囲むような食べ方だが、横並びで食べるということ?

加藤勝信 厚生労働相:
可能ならばそう。共用するものも減らして、必要なら消毒を行う。

助成金の財源として赤字国債か

反町理キャスター:
経済の回復にはまだ時間が必要で、議論となるのが雇用調整助成金の拡充。9割助成が10割となり上積み分も補填するなど話があるが、総理のいう拡充とは対象の拡大か、1日あたり8,330円という上限を引き上げるのか。

加藤勝信 厚生労働相:
基本的には8,330円を上げる形。あとは家賃・学生への助成。雇用調整助成金について、自粛要請対象の中小企業については10割出そうという話がある。8,330円については、この額の根拠である失業手当とのバランスについて検討。また保険財政の懐事情についても議論が必要。

反町理キャスター:
失業保険より厚く給付することに?

加藤勝信 厚生労働相:
失業給付の話も別途あるが、現状は雇用調整助成金を上げる議論で、具体的な数字を言える段階ではない。

反町理キャスター:
雇用調整助成金は一度ではなく、継続的でなければならないもの。安定財源は?

加藤勝信 厚生労働相:
財政当局が考えることだが、税収も下がるから、赤字国債による財源調達の可能性もあるかもしれない。

治療薬の認可は?

長野美郷キャスター:
現在注目を集めている治療薬として、レムデシビルとアビガンがある。レムデシビルはアメリカの認可後すぐに特例承認の手続きに入ったが、この異例対応には相当の効果があるとの判断があったのでしょうか?

加藤勝信 厚生労働相:
効果がある可能性が指摘される薬はこれ以外にも複数あり、日本含む各地域においても活用し治療効果を見ている。レムデシビルはアメリカで治験が行われ緊急承認された。日本も情報収集してきたが、特例承認の対象として申請が出たので、すぐに承認すべく議論をしている。(※5月7日に承認)

松本哲哉 国際医療福祉大学医学部 主任教授:
アビガンは従来の抗インフルエンザ薬と採用基準が違う。新型インフルエンザに対応する際、使える薬がない状況が起こるため、採用基準が異なる薬が必要とされ承認を受けた。しかし動物実験でも多く出た催奇形性など副作用が問題で、かなりの議論があった。
結論、一般処方薬としての承認は難しく、インフルエンザへの備えとして備蓄が行われた。「いざというときに」の薬。まさか新型コロナウイルスにおいて注目され、承認されるとは思わなかった。

松本哲哉 国際医療福祉大学医学部 主任教授

加藤勝信 厚生労働相:
観察研究・臨床研究・治験という段階のうち、観察研究で3,000人ほどに投与されており、効果ありとの話も。しかし薬事承認には不十分。臨床研究・治験のデータで有効性を見る。有効性が確認されれば、5月中の承認を目指し我々も努力する。

反町理キャスター:
サリドマイドや薬害エイズなど、厚労省は薬害と向き合ってきた。アビガン承認に思うことは?

加藤勝信 厚生労働相:
新型コロナへの不安の大きな原因に「治療薬がない」ことがある。安全性や有効性をチェックし、治療薬による不安解消との両立を図っていく。承認手続きは短く。

PCR検査の「目詰まり」とは

長野美郷キャスター:
「人的な目詰まりもあった、PCR検査の実行が少ないという認識も持っている」と安倍総理の発言があった。この目詰まりとは?

加藤勝信 厚生労働相:
検査の際の検体採取に人手がいる。医師会、歯科医師含め協力いただき手を増やしている。また検査の場所も増やす。例えば東京では新宿の大きい病院の提供体制など動きが出ており、それぞれの地域が地元の関係者と提供体制の整備を進めている。このように目詰まりを解消していくことで、医師が必要と判断すれば検査がなされる状況を整えるようにしている。

反町理キャスター:
感染研などの公的機関にPCR検査を任せすぎているとの指摘もある。

増田道明 獨協医科大学微生物学講座 教授:
私が目詰まりを感じたのはクルーズ船のとき。一日300件の検査だったが、本来あの段階で数千のキャパシティを作るべきだった。
現状評価は、まず諸外国に比べて確かに検査数は少ない。しかし陽性率も低い。この理由は「やるべき検査ができていない」「陽性率が本当に低い」のどちらか。しかし前者ならば重症化率・致死率も上がるはずで、必要な検査は出来ているのでは。
検査体制拡充の意義は社会の感染状況の可視化にあるが、ここでPCR検査はあまり意味がない。個々の感染歴の有無から社会の感染状況を見るなら抗体検査に移行。また近いうちにウイルスのタンパクを調べる抗原検査が実用化される。インフルエンザと同じような検査となり、検査件数は増える。今はPCR検査を増やすことを自己目的化してはだめ。

増田道明 獨協医科大学微生物学講座 教授

加藤勝信 厚生労働相:
医療体制はさらに整えていくが、結果として感染者数が少なくならなければ提供体制はできず、他の疾患もケアできない。皆さんには引き続き「新しい生活様式」を含め、三密を意識して他人を感染させない、自分も感染しない努力をお願いしたい。

(BSフジLIVE「プライムニュース」5月5日放送)