コミュニケーションが苦手な子どもを言語療育で支援

コミュニケションや言葉を発することで遅れを持った子どもなどが、より良い生活を送れるように支援する言語療育。伝えたいことがうまく伝わらない中、その支援を通して絆の深まった親子を取材した。

夏帆ちゃん(2)は、おもちゃが大好きな育ち盛りの女の子。

夏帆ちゃんの母親:

ゾウが好きなんだけど、「ぞ」って言いにくくて、最近になって「ゾウ」は言えるようになった

楽しそうに遊ぶほほ笑ましい親子の姿。しかし、親子のこうしたコミュニケーションは、初めから取れたわけではない。

夏帆ちゃんの母親:

「おやっ」と思ったのは、生後6カ月くらいの時から。わたしとは目を合わせるが、わたし以外の人と視線が合いづらかったり。10カ月くらいで「この子そうなのかな」と

2歳になり、同じ年の周りの子どもが話し始める中、夏帆ちゃんは、言葉を発することができなかった。

夏帆ちゃんの母親:

子どもが伝わらないときは、お母さんの手をかむとか、髪を引っ張るだとか、伝えたいのに「何でわかってくれないの」みたいな

親子支える言語発達支援センター…一方で人材不足も

この日、2人が向かったのは、新潟医療福祉大学内にある言語発達支援センター。

この場所で待っていたのは、言語聴覚士の吉岡豊准教授。

言葉が遅れていたり、コミュニケーションを取ったりすることが難しい子どもたちを、言語療育の面から支援する。

新潟医療福祉大学 言語聴覚学科・吉岡豊准教授:

言葉だけの問題ではないと思いますけれども、言葉が少しでもできることによって、一歩前へ進む

最初は座っていることすら難しかった夏帆ちゃんだが、吉岡准教授が、遊びの中でさまざまな反応を引き出していく。

この日、行われたのは、絵描き歌で描かれたイラストを、それと同じイラストが貼られた箱に入れていく遊び。こうしたコミュニケーションを通して、夏帆ちゃんは、この数カ月で、たくさんの言葉を発することができるようになった。

夏帆ちゃんの母親:

言葉が出るようになってきている。生活の中で取り入れられるヒントを先生たちが出してくれるので、すごくうれしい

こうした場が、言語の発達に悩む親子を支える受け皿となっている一方で、吉岡准教授が実感していたのは人材不足。

新潟医療福祉大学 言語聴覚学科・吉岡豊准教授:

隣のまちの人からのニーズであるとか、遠くの方のニーズが結構たくさんあって。皆さん困っているんだなというのも実感

言語聴覚士は、1997年に国家資格となった比較的新しい資格。2019年の合格者数を見ても、理学療法士や作業療法士と比べて、人数が少ないことがわかる。

さらに、言語聴覚士は、高齢者に多い食べることに関する障害「摂食嚥下(えんげ)障害」の支援も行うため、高齢化が進む今、小児に関わる言語聴覚士が少なくなっているという。

吉岡准教授は、大学で親子の支援を続けながら、学生に療育の現場を見せることで、言語聴覚士を目指す若手の育成を行っている。

学生:

夏帆ちゃんは、あまり言葉の表出がなかったが、きょうはたくさん話していたので、最初から見ていると全然比べものにならないくらいたくさん言葉を話していたので、ものすごく成長しているなと思ってうれしかった

子どもの成長見守る親へのフォロー…母親の心境にも変化が

こうした人たちとの関わりの中で、少しずつ、でも着実に変化が生まれてきている夏帆ちゃん。吉岡准教授は、その成長を誰よりも近くで見守る親へのフォローも大切にしている。

夏帆ちゃんの母親:

ひらがな・文字が最近好き。ひらがな表を読む

新潟医療福祉大学 言語聴覚学科・吉岡豊准教授:

文字が続くなら、文字でもいい気がする

新潟医療福祉大学 言語聴覚学科・吉岡豊准教授:

1日1回で40分とか1時間やったからといって、劇的に変わるわけではない。その間の生活をどうしてほしいかというのを助言するほうが大切

わが子の成長を実感し、母・千寿子さんの心境にも変化が生まれていた。

夏帆ちゃんの母親:

(療育を受ける前は)言葉も出ないし、この子の欲求がわからなかった。コミュニケーションが取れなかった

最初は、子育てに対してなかなか楽しみを持てなかった話す。

夏帆ちゃんの母親:

言葉で教えてくれるようになったので、それがちょっと楽しくなってきたところ

言語療育を通し、親子の間に1つ、また1つと、楽しみの輪が広がっていく。

(NST新潟総合テレビ)

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