3月22日、埼玉県の自粛要請にもかかわらず、「さいたまスーパーアリーナ」で格闘技イベント「K-1 WORLD GP」の開催が強行され、物議を醸した。

主催者側は28日土曜日には、文京区の後楽園ホールでも「Krush」という格闘技イベントが開催する予定だ。

東京都は開催の自粛を要請するものの、主催者側は「最大限の予防策・施策を講じて大会を開催する予定です」として自粛要請には応じず、今回も開催を強行する構えだ。

こうした状況下、小池百合子東京都知事は「首都封鎖」の可能性にも言及している。

イベント開催につきまとう感染拡大のリスク。国が緊急事態宣言を出した場合、イベントを強制的に中止できるが、政府も宣言を出すほどではないとの認識を示している。自粛か?強制か?厳しい対応を迫られている。

「要請」には法的根拠も損害補償もない

加藤綾子キャスター:

この状況で、都内で大量の人が集まるイベント。危機管理のプロとして開催は許されるか、それとも開催すべきではないか、どちらでしょうか?

防災システム研究所 所長 山村武彦さん:

現在、大規模災害が進行中なわけですから、その進行中で集団感染の危険性があれば、開催すべきではないです。

加藤綾子キャスター:

皆そう思っていると思いますが、政府が「要請」している段階でいうと「命令」ではない。となると、やっぱり主催者側がそんなに大きな決断をなかなか下せないんじゃないかと思うのですが、止める方法というのは何かあるのでしょうか?

防災システム研究所 所長 山村武彦さん:

総理大臣の要請ですから、重いことは重いのですけれども、法的根拠がない、あるいは損害補償もない。そして、「お願い」というのは、ある種自主的なお願いですから、それで止めるというのは非常に難しいですよね。

別所哲也さん:

僕も映画・演劇人としてエンターテインメントに関わっていますから、この線引きは本当に難しいですよね。「自粛」と言われていますから、自分たちで決めればいいけど、そこに億単位のお金もかかっている現実もある。もちろん健康や命というものが優先されるべきなのですが、同調圧力のようになってしまわないような仕組みにならないと。

別所哲也さん:

今取り上げられたK-1はけしからんけれども、同じような規模のクラシックのコンサートはいいのかとか、じゃあ演劇はどうなるんだとか、さまざまなことをやはり同じように考えなければフェアではなくなってしまいそうですね。

風間晋 フジテレビ解説委員:

ただ、K-1に補償してしまうと、そのほかの興行主も「だったら俺たちもやろう」ということに絶対なるじゃないですか。もしかしたら、補償をもらうために興行やるっていう、ある意味モラルハザードにもつながりかねないのでそういうところも問題かなと思うんですよね。

加藤綾子キャスター:

風間さん、こういう時ってどうしたら止められると思います?

風間晋 フジテレビ解説委員:

僕がもし役人だったら例えばこの施設を提供している後楽園さんにまた働きかけをして、その施設提供というのをちょっと自粛してもらうというやり方がないかなとか考えるんじゃないかなと思うんですけどね。

加藤綾子キャスター:

そもそも開催できないようにするということですよね。

「緊急事態宣言」で可能な措置とは?

加藤綾子キャスター:

前回なのですが、主催者側の対応としてはこのようなことを行っていたんですよね。マスクの配布をしたりとか、チケットの半券に住所電話番号を記入していた。このような対策をとっていたということなのですが。

風間晋 フジテレビ解説委員:

これ、「本当のことを書きましたか?」という問題があるじゃないですか。

加藤綾子キャスター:

そこもありますよね。医学的な立場からはどうなのか。感染症に詳しい昭和大学の二木芳人特任教授はこのように語っています。「万全の対策をしたとしても数千人規模での完璧な順守は期待できない」。

いま風間さんがおっしゃったことも含めてということになると思います。では今回の件について町の皆さんはどう思っているのか。後楽園周辺で聞いてきました。

50代女性:

基本的には反対ですね。火薬庫の中でタバコを吸うような行為にちょっと近いところがあると思いますので。

60代男性:

やっぱり反対です。最近また東京都内では感染者が増えてますので、ここはあと2週間ぐらい自粛すべきだと思います。

40代男性:

条件付きで賛成ですね。何でもかんでもなしになることで経済がどんどん疲弊してるっていうのは現実に今ありますよね。

20代男性:

賛成です。対策とかもそれはきちんと運営の人がやっていると思うので、選手の立場としては賛成です。

加藤綾子キャスター:

このようにさまざまな意見が出るのも当然といえば当然で、やはり日本独特の空気を読んでくださいねっていうようなことが、より皆さんの判断を惑わされているような気がするんですけど。では、「要請」という言葉ではなくて、政府が「緊急事態宣言」、これはどうなのかということなんですが。

加藤綾子キャスター:

「緊急事態宣言」というのはこういったことですね。外出自粛要請、あと学校とか映画館などの使用停止要請の指示もできるということなんですよね。これについてはどうですか。

防災システム研究所 所長 山村武彦さん:

要請は「お願い」です。「指示」は一種「命令」に近いんですけれども、今回の場合には罰則規定は特にないんですね。設けることはできるんですけれども。ですから、それで徹底できるかどうか分かりませんが、ただ一歩前進することは間違いないですね。

防災システム研究所 所長 山村武彦さん:

アメリカ、例えばカリフォルニアなんかだと、その州知事が“executive order”っていうのを出すわけです。いわば「行政命令」です。そしてサンフランシスコやロサンゼルス市がより具体的な罰金だとか、どんな方法はダメというのを決めるわけですよね。そういうものを明確にする。今、曖昧すぎるのではないかなと思います。補償するのも一定限度まで補償するとか、あるいはこういう業界だったらとか、許容限界を設けてやるべきかなと思いますけどね。すべてを補償することはできないと思います。

風間晋 フジテレビ解説委員:

政府がそういう手段をとっていないということは、つまり、政府はそこまでの危機意識は持っていないんだというふうに受け止められてもしょうがないんじゃないのって思いますけどね。

加藤綾子キャスター:

今って本当に危機感を高めてもらうことこそが大事なわけですもんね。

防災システム研究所 所長 山村武彦さん:

政府は緊急事態宣言のタイミングを図っているところだと思います。

加藤綾子キャスター:

そうですね。果たして主催者側がどのような判断を下すのか注目されます。

(Live News it! 3月25日放送より)