国の先を行く対策を次々と打ち出し、評価がうなぎ上りの大阪府・吉村知事。

その吉村知事と、新型コロナウイルス対策を担う西村経済再生相が、出口戦略をめぐり、火花を散らしている。

騒動のきっかけとなったのは、吉村知事の5日のこの発言だった。

大阪府・吉村洋文知事「本来であれば、国において、具体的な指標というものを4日の段階で示していただければよかったですけども、それを示されないということになったのであれば、これは大阪独自に示していこうということです。大阪がやらなければ、ずーっとやらないですよ!」

この発言に対して、西村経済再生相は6日、こう反論した。

西村経済再生相「国が示さないから大阪が示すと、そう言われたと、わたしも報道で承知していますが、これは何か勘違いをされているんじゃないかというふうに思います。強い違和感を感じています」

吉村知事の発言には「国に出口戦略の指標を示してほしかった」という意図が、西村経済再生相の反論には「休業要請は、独自に知事が判断するもの」という意図が、それぞれうかがえた。

西村経済再生相の反論を受けて、吉村知事はツイッターにて、謝罪のコメントを投稿している。

「西村大臣、仰るとおり、休業要請の解除は知事権限です。休業要請の解除基準を国に示して欲しいという思いも意図もありません。ただ、緊急事態宣言(基本的対処方針含む)が全ての土台なので、延長するなら出口戦略も示して頂きたかったという思いです。今後は発信を気をつけます。ご迷惑おかけしました。」

また、謝罪コメントを受けて、西村経済再生相も取材にこう答えている。

西村経済再生相「ちょっとした言葉のあやというか、誤解がありました。このコロナ対策をなんとか収束させたいという強い思いは共通であります。これまで以上に、緊密に連携をして、この封じ込めに向けて取り組んでいきましょうと」

「Live News it!」のスタジオでは、ジャーナリストの柳澤秀夫さんに話を聞いた。

加藤綾子キャスター「新型コロナウイルスを収束させたいという強い思いは一緒なんですとおっしゃっていましたが、柳澤さんはどうご覧になりますか?」

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏「緊急事態宣言を出したり解除するのは、政府の仕事。それに基づいて、休業要請を出したり解除するのは、知事の権限。そのへんがごっちゃになったような感じが否めないですね。(吉村知事は)わかったうえで、そう言ったのかなという感じもするんですけど。大阪モデルはあくまでも休業要請をしたものを解除するときの解除基準を示したととれるんですよね。吉村知事にしてみれば、緊急事態宣言の延長にあたって、具体的に解除するときに、どういう目標の数字を示すのか、政府が示さなかった。それに対するいら立ちがあったと思うんです」

加藤キャスター「ツイッターのコメントでもあったものですよね」

柳澤秀夫氏「それを考えれば、吉村知事の発言は、当然の心情ではなかったかなという感じがしますよね」

加藤キャスター「風間さん、西村経済再生相が反応した背景には何があったと思われますか?」

フジテレビ・風間晋解説委員「政府の新型コロナウイルス対応を国民の立場で振り返って考えてみると、マスクが全然手に入らないとか、PCR検査をなかなかやらせてもらえないとか、10万円も決まったけれどもスピードが遅い。そして今回の出口戦略につながる数字を、大阪府が先に言ったことで、国民の心配や要望を政府がうまく吸い上げて、実現に結びつけることができていない感じがするんですよ。西村経済再生相ご自身も思ったように、できていないなというのを感じていて、そういう焦りが、吉村知事に対する厳しい言葉に出ちゃったのかなと...わたしはそう受け止めています」

加藤キャスター「政府に対する風当たりの強さも感じていて。誤解がないように反論しようという思いだったんじゃないかということですね」

この論争、街では、どのように受け止められているのだろうか。

40代女性A「(吉村知事は)イケメンですよね。すてきな方だと思います。独創性がある政策をとっている印象です」

70代女性「国が、なんだかよくわからないじゃないですか。何かころころ変わるから、(大阪が独自で)やっちゃうんじゃないですか」

40代女性B「(大阪モデルは)非常にわかりやすいし、モチベーションを保つには、とてもいいことだと思いました。(西村経済再生相の反論は)国の方で大まかな方向性というか、国民を思っての発言を先にしてほしかったとは思いますね」

50代男性「結局、国がやらないから、(大阪)府がやったと。そして府ができないから、今度は国にやってくださいって逆に投げてるというか、戻してるというか。なすりつけてるような感がしないでもないですけどね」

大阪府の吉村知事は先日、休業要請について、“大阪モデル”と呼ばれる、独自の解除基準を発表。
以下の3点が原則7日間続けば、段階的に自粛を解除するとしている。

1. 感染経路不明者が「10人未満」
2. PCR検査の陽性率が「7%未満」
3. 重症者の病床使用率が「60%未満」

休業要請の解除について、全国の都道府県は、5月7日から新たな段階に入った。

休業要請について、特定警戒都道府県の対応は、大阪府は、15日から独自基準で解除を判断、北海道が15日まで延長、茨城が17日まで延長、東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・岐阜・石川・京都・兵庫・福岡は、31日まで延長するとしている。

一方、特定警戒都道府県に含まれない34県のうち、宮城・新潟・岡山・鹿児島など、20の県では、7日から、すでに一部の業種を除き、休業要請の緩和や解除に踏み切っている。

例えば宮城県では、徹底した感染防止対策をすることなどを条件に、劇場・映画館、博物館・美術館、自動車教習所・学習塾、百貨店・飲食店、カラオケボックス、キャバレー、ライブハウス、漫画喫茶、スポーツジム、パチンコ店、ゲームセンター、旅館なども、休業の緩和措置がとられている。

店側が、どう営業するかが注目されている。

加藤キャスター「二木さん。徹底した対策を行えば大丈夫なのでしょうか?」

昭和大学医学部・二木芳人客員教授「完璧な感染対策がとりやすい分野もあれば、当然われわれも新しい生活様式にあわせて、ソーシャルディスタンス、マスクや手洗いとかもするのでしょうけども、そういうことをしても営業が厳しいんじゃないかなと思われるような業種もありますよ」

加藤キャスター「そうですね。風間さん、どんなことが大切だと思いますか?」

風間解説委員「感染が再び広がる兆しを、すぐに察知する対策をきちんととっていますよ、というのを一緒に宣言するのが、本来のあるべき姿だと思います」

柳澤秀夫氏「(感染の)第2波という話もありますからね。なし崩し的に、これまでの緊張感が崩れていくというのが怖いですね。難しいですけどね。こういう動きが出てくると」