つけっぱなしでOK「貼るマスク」

緊急事態宣言の全面解除がされて約1カ月。

少しずつ外出する機会も出始め、自粛期間に伸びてしまった髪を整えたい…と美容院を訪問、という人も多いことだろう。しかし、そこで少し困ってしまうのがマスク問題。

美容師との距離が近いため、感染予防のためマスクをつけていた方が安心だが、シャンプーの際には耳にかける部分が濡れてしまったり、カットの邪魔になってしまうという問題が…そんな不便を解決してくれそうなマスクが登場し、話題となっている。

原宿と川崎で美容室を運営する株式会社earchが開発したのが、「salone de mask(サロン・で・マスク)」。

特徴は、なんといってもゴムを耳にかけるのではなく、顔に直接貼り付けて使うという点だ。

鼻や口元が透けて見える「透けるタイプ」と、手持ちのマスクを中に入れて使う、より安心・安全にサービスを受けたい人用の「カバータイプ」の2種類があり、どちらも薄い不織布で作られている。

また、「salone de mask」を顔に固定するためのテープは、皮膚にやさしい医療用両面テープが使われており、顔に直接貼るのは痛そう…という人も安心できそうだ。

左が「透けるタイプ」、右が「カバータイプ」

「salone de mask」はどちらのタイプも完全にウイルスの侵入を防ぐものではないというが、マスクを完全に外してしまうというのが不安な現在。

SNSではさっそく「シャンプーの際に濡れてしまわないか心配だったから画期的」という声などが挙がっている。実際に美容院で「マスクをしたままでいたい!」との声が大きく、このようなアイテムを開発したのだろうか。

株式会社earchにお話を聞いてみた。

客もマスクに戸惑いの声

――「salone de mask」開発のきっかけを教えて

美容室を運営しながら、舞台や映像、イベントのヘアメイクの仕事もさせていただく中で、まずコロナの影響により、衣装さんを中心にスタッフ陣がかなりの影響を受けてしまいました。

それでも美容室は営業を続ける形を取らせて頂き、その中でお客様に直接触れる仕事でありつつも、お客様自身の不安と、それに伴うスタッフ側の不安を解消できるツールが4月末の段階で無いなと感じました。そして作業的にも耳ひもがある事が今までにないストレスを感じるのと、作業効率が悪く滞在時間も少しずつ長くなってしまう事も懸念の一つとして捉えました。

そこで舞台関係者と相談をし、この考えとツールを製作してもらえるか?を相談したところ、快く引き受けて頂けて、開発に至りました。


――実際に「マスクをつけたまま施術してほしい」という要望は多い?

いろいろな考え方の方がいらっしゃいまして、つけるのが普通の状況で、弊社サロンでは、どちらかというと「どうしたらいい?」という戸惑いのご意見が多かったように思います。ですが、SNSなどではなるべく外したくないご要望を多く目にしてます。


――コロナ以前に「マスクをつけたまま施術してほしい」という声はあった?

ほとんどありませんでした。


開発のきっかけとなっていたのは、客側からの「マスクを外したくない」というクレームや要望ではなく、「どうしたらいい?」という戸惑いの声。

“マスク警察”という言葉が広まりつつあり、外出時にはマスクをつけていたいと思いつつも「こういう時には外した方がいいのか判断に困る…」という悩みが、「salone de mask」が生まれる背景にあったようだ。

「透ける」マスクで客と美容師の双方にメリット

そして、耳かけタイプでないことに加え、もうひとつ注目したいのが「顔が透けて見える」というポイントだ。

――「salone de mask」のコンセプトはどんなもの?

従来のひも付きマスクでは、

・シャンプー時に耳ひもが濡れてしまう
・カラーリングやパーマによる施術により汚れてしまう
・カットをする際にハサミがひもにひっかかりやすい
・マスク着用によりお客さまのお顔のバランスを見ながらの最適なヘアカットがしにくい
・マスクを外さなければいけないタイミングがある

などといった問題があり、これでは、ここまで美容業界が積み上げてきた最良のサービスをお客さまに提供できなくなってしまうのです。

こうした問題をすべて解決したいと開発したのが「salone de mask」です。耳にかけないマスクのため、カットやシャンプーの邪魔にならず、お客さまの顔が見えるように透けるタイプもつくりました。

お客さまとスタッフが安心して快適に過ごせるようにサポートし、理美容業界に少しでも貢献できるように開発したものです。

マスクをつけたまま顔のバランスが確認できる

――こだわった点はどこ?

type-A(透けるタイプ)に関してはとにかく軽く、輪郭や鼻、口の位置をわかるようにした点。type-B(カバータイプ)は、お客様の安心を最優先で、ご自身のマスクを差し込めるようにした点です。それぞれ試行錯誤、開発の段階から、何度も検証を繰り返し、美容室にいる数時間と言えど、つけ心地にこだわっていきました。

共通点は肌に対しての影響を極力少なくする事、剥がれにくくする事で医療用の両面テープを何種類も検証を重ね、最適な物を選び出しています。日本でのお仕事を産み出すために、布の仕入れや、工場を探す事などがかなり困難だった点になります。


ヘアカットは客の顔の輪郭や目・鼻・口のバランスを見ながら行うため「マスクで顔半分が隠れた状態ではバランスが確認しにくく、お客さまに最良のサービスを提供できなくなってしまうという問題もある」とのこと。単に「貼るマスク」というだけでなく、顔が透けて見えることで、客と美容師どちらにもメリットがあるのだ。

発売から3日で約3万枚の予約販売を受けているという「salone de mask」。

SNSで「美容院での使用だけでなく、耳にかけるゴムの痛みに耐えていたから普段使いにも嬉しい」という反響があることを受け、開発が進んでいる新たな商品について近々発表予定もあるという。

「より多くの方がご利用頂けますよう、さまざまな展開ができるように体制を整えています」と語っている。

「salone de mask」はどちらのタイプも使い捨てとなり、フリーサイズのみとなる。専用サイトから予約購入でき、発送は生産次第だが7月中を予定している。価格は5枚入り1,100円、10枚入り1,650円、50枚入り6,600円(税込)。

“withコロナ”における日常から生まれた、理美容院向けの新しいマスク。まだまだマスクが手放せない日常が続くが、「salone de mask」を始め、様々なアイデア商品とともに“withコロナ”“afterコロナ”の時代を過ごしていきたい。