“和”の色鮮やかな朱肉「わたしのいろ」

6月19日に内閣府、法務省、経済産業省は、「押印についてのQ&A」という資料を公開し、「テレワーク推進の観点からも押印以外の手段で代替することが有意義であると考えられる」と“ハンコ”への見解を発表。

新型コロナウイルスで増えたリモートワークの影響もあり、脱ハンコ文化の流れが強まりつつある中、新しいハンコの使い方として、美しい色彩でハンコを使いたくなる朱肉が登場した。
まずはその彩りを見てほしい。

(提供:シヤチハタ株式会社)

シヤチハタ株式会社が製造したのは、複数の色を織り交ぜた色鮮やかな朱肉「わたしのいろ」。
朱肉を付ける場所によって異なる印影が残せ、印鑑だけでなくスタンプとして使うこともできる。

カラーは日本らしさをテーマにした5種類。
伝統の赤と墨の色の「にしきごい」。
清らかで穏やかな「うみ」。
甘酸っぱい「みかん」。
木漏れ日差し込む「もり」。
気取らない優美さ「つばき」。

(上段左から「にしきごい」「うみ」「みかん」下段「もり」「つばき」 提供:シヤチハタ株式会社)

商品は1つ1つ手作りされており、手に入れた商品ごとに、そして、その日の押す場所ごとで異なる姿を見せてくれる。
まさしく“その日の自分”にしか押せない「わたしのいろ」となっている。

7月1日から各種20個ずつ(合計100個)が、2000円(税別)でテスト販売され、当日に完売するほどの反響となった。

(提供:シヤチハタ株式会社)

今回はテスト販売だったというが、今後この商品はどうなるのだろうか?シヤチハタ株式会社 広報担当の山口高正さんに話を聞いた。

 自分だけの“しるし”を表現

ーー朱肉「わたしのいろ」製造の経緯は?

“これからのしるし”をテーマに新しいプロダクトのデザインを募ったコンペ「第12回シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」において、グランプリを受賞した歌代悟氏の作品を商品化しました。

(にしきごい 提供:シヤチハタ株式会社)

ーーこだわりの部分は?

朱肉をつける場所によって押した時の印影が全て異なる彩りになります。
従来の朱肉以上のアイデンティファイ機能と個性や感情表現という感性的機能を併せ持っています。

押す人、押す時々の気持ちによって、しるしの色が変わる、まさに自分だけのしるしを表現することができるこだわりの朱肉です。


ーー製造にあたっての苦労した点は?

一つの盤面に異なる配色でインキを入れるので、一つ一つ手作りで作らなければならないことです。
また、同じ様な配色で作れるような作製方法にも工夫しました。

(もり 提供:シヤチハタ株式会社)

ーー5種類のカラーのアイデアはどのように出た?

受賞作品をそのまま作製してみると、盤面(朱肉の表面)はキレイだが押した印影が薄くて朱肉としての機能をはたせないものでした。
そこで、提案された印影を再現するために、インキを濃くしましたが、すると今度は盤面が美しくなく、商品としての価値がなくなってしまうと思い、どうしたら良いか悩みました。

そこで、作者の歌代氏に相談して一緒に解決方法を探り、歌代氏に配色テーマの設定と名前付けを提案していただき、今回の5種での配色でテスト販売が決まりました。

(アイデアの元になった歌代悟氏による受賞作品 提供:シヤチハタ株式会社)「数量限定で再度販売できれば」

ーーなぜテスト販売になった?

商品の特長から大量に作ることが難しいことと、この商品がどの様に評価されるかを見るために、数量を各20個にしてテスト販売することにしました。


ーー売れ行きはどうだった?

特に告知活動はせず、リリースの配信と自社の公式SNSでの公開でしたが、夕方から注文が増え、19時半に完売となりました。
人気だったのは「うみ」でした。

今までにない商品ですので、商品の特長・価値を理解していただけるのか不安でしたが、6時間半で売り切れるとは正直、思いもよりませんでした。

(うみ 提供:シヤチハタ株式会社)

ーー反響はどうだった?

SNSでの反響では、グラデーションが綺麗など、色遣いについての評価が多いようです。また、再販売の希望も多くありました。
商品のコンセプトを理解していただけて嬉しく思います。


ーー今後「わたしのいろ」はどうなる?

大量に作ることができないので、数量限定で再度販売できればと考えています。

(つばき 提供:シヤチハタ株式会社)

そして、脱ハンコの流れに対しては、「ハンコが悪いのではなく、ハンコを押すためだけに出社を余儀なくされていることが問題であると捉えています。」と担当者は語る。

シヤチハタ株式会社では、問題解決の1つとして、テレワークがスムーズにできるよう電子印鑑のサービス「パソコン決裁Cloud」を提供している。

(みかん 提供:シヤチハタ株式会社)

朱肉「わたしのいろ」には“しるしの持つ可能性を見てみたい”といった思いが込められているそう。

ハンコが新しい働き方の障害になってはいけないが、今までの固定概念を壊したこうした取り組みのようにハンコ文化は新たな進化を続けているようだ。