トランプ大統領は4年前の雪辱を果たせるのか

トランプ大統領は前回2016年の大統領選挙では、ニューハンプシャー州で当時の民主党のクリントン候補にわずか2,736票差で敗北している。秋の大統領選で4年前の雪辱を果たすことが出来るのかが注目されている。

ニューハンプシャーで民主党の予備選が行われる前日の10日、トランプ大統領はこの因縁の地に専用機で乗り付け、集会を開いた。 トランプ大統領の動きを現地で取材した。

テントを張り夜を徹して並ぶトランプ支持者たち

マイナス12度の中、徹夜で並ぶ支持者たち

トランプ大統領が10日夜に集会を開くと発表したことを受け、会場の外には最前列でトランプ大統領を見ようと前日の昼から行列ができた。隣の州、バーモント州から駆け付けたジョシュアさんは、テントや暖房器具なども持ち込み周到な準備を整えていた。しかしこの日は夜間雪がちらつき最低気温はマイナス12度まで冷え込むとの予報だ。 なぜそこまでするのか、話を聞くと「トランプ大統領はアメリカ史上最高の大統領さ、大統領はまさに俺たちが感じていたことを代弁してくれたんだ」と白い息を吐きながら熱く語った。

1万人超がUSA!USA!

集会当日、会場の四方は除雪車などで封鎖され厳重な警備が敷かれた。また会場周辺はトランプ・グッズを販売する業者が軒を連ね、縁日のような賑わいを見せていた。普段は静かなマンチェスターの町も、この日は大騒ぎとなった。1万2000人を収容できるアリーナは4階の観客席まで満席状態で、トランプ大統領が会場に現れると、「USA!USA!」と地鳴りのような掛け声が上がった。まるで人気歌手が登場したかのような盛り上がりようだ。

トランプ大統領は、まず民主党の候補選びの初戦アイオワ州で起きた集計トラブルに触れ、「票の集計もろくにできないのに、何が医療改革だ」と民主党をこき下ろした。

さらに「民主党は高い税金と高い犯罪率を招く政党だ。一方で、共和党はアメリカの労働者と家族、そしてアメリカンドリームの政党だ」と述べて、民主党との対決姿勢を鮮明にした。そして集会の最後こう呼びかけた。

「あなたたちの協力を得て11月には社会主義の民主党を打ち負かす。ニューハンプシャーでわれわれは大勝利を収める」再選に向け支持者の協力を訴えたのだった。

“現状維持”では再選は厳しい

しかし、岩盤支持層の票だけで再選を果たせるほどアメリカ大統領選は甘くない。

トランプ大統領は自らの弱点ともいえる黒人票、女性票、ヒスパニック票の掘り起こしが勝利への鍵となっている。特に黒人は民主党支持者が圧倒的に多く、黒人の8割以上が、トランプ大統領は「人種差別主義者」で黒人差別を悪化させたと答えた調査もある。

一方で、民主党候補のブルームバーグ前ニューヨーク市長への黒人支持が急速に高まっている。最新の世論調査では、候補者選びの序盤戦で苦戦しているバイデン前副大統領の黒人票がブルームバーグ氏に流れている実態が明らかになった。バイデン候補の支持率が2週間で22ポイント下がり27%に、逆にブルームバーグ氏は15ポイント上げ猛追、民主党でバイデン氏に次ぐ2番目に高い22%の黒人支持を得ている。さらに10日に発表された世論調査ではトランプ大統領に勝てる対抗馬としてブルームバーグ氏がトップに躍り出て、バイデン氏は2番に落ち込んでいる。こうした流れを意識してか、最近ではトランプ大統領のブルームバーグ氏への攻撃も激しさを増している。「金で出馬資格を買うような男」、「リーダーとしての品格が無い」など、トランプ大統領が警戒する“ライバル圏内”に確実に入ってきた証拠だ。

「チーム・トランプ」司令塔の一人、マーク・ロッタ―戦略コミュニケーション本部長

新しい支持者開拓の“秘策”

再選を目指す「チーム・トランプ」の司令塔の一人、戦略コミュニケーション本部長のマーク・ロッタ―氏はFNNの取材に新規の支持者開拓の秘策について話してくれた。

「トランプ陣営は新しいアプリを独自に開発していて、選挙キャンペーンに動員するボランティアスタッフの携帯にこのアプリをダウンロードさせ、指示を出したり、各地の細かい支持者の動向を吸い上げることを考えている」という。調査会社に頼らず独自に生のデーターを集めることで、選挙地区ごとにピンポイントで効果的な支持者の取り込みが可能になる。そして「2020年の大統領選ではニューハンプシャー州やミネソタ州など前回の選挙では僅差で負けた州を取り返すことが出来るだろう」と自信を見せた。

【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー・藤田水美】

「アメリカ大統領選」すべての記事を読む