新加入FW陣も驚愕 ウタカ「ファンタスティック」、李「素晴らしいスタジアム」

 2月9日、京都サンガF.C.の新しい本拠地となる「サンガスタジアムby KYOCERA」(京都・亀岡市)のこけら落としとして、セレッソ大阪とのプレシーズンマッチが開催された。

 この日、サンガスタジアムがある亀岡は、雪が舞う冷え込みとなったが、新スタジアムは1万7938人の観客が集まって賑わいを見せ、両チーム合わせて計5ゴールが入った。

 新スタジアムでプレーした感想について、京都の新加入FWピーター ウタカは、「本当にファンタスティックでビューティフル、アメージングなスタジアム。プレミアみたいな感じ」と語り、FW李忠成は「素晴らしいスタジアム。これだけ人数が入るとサッカーは面白いんだということを京都の人たちに知ってもらえたらいいなと思う」と力を込めた。

 サンガスタジアムは、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなどの専用球技場で、総事業費約176億円、2万1600人収容。スタジアムの場所は、京都駅からJR嵯峨野線快速・園部行きで19分、JR亀岡駅から徒歩3分の好アクセスだ。「サンガスタジアムby KYOCERA」とスタジアム名にクラブ名が入るのは珍しい。

 ネーミングライツを獲得した京セラは、毎年1億円を20年間にわたり支払う契約で、「サンガスタジアム」という呼称が地域に定着しそうだ。

久保裕也が所属したヤングボーイズの本拠地も視察、直線的なデザインの美しさを採用

 サンガスタジアムの設計を手掛けた東畑建築事務所設計室長の上羽一輝さんは、これまでの国体やJリーグのクラブライセンスに適合するスタジアム改修工事を担当した豊富な実績(岡山県シティライトスタジアム、愛媛県ニンジニアスタジアムなど)を買われ、サンガスタジアム設計担当に抜擢された。

 希少種であるアユモドキの生息環境への影響を考慮し、スタジアム建設予定地が急遽変更したため、1年という急ピッチで設計を進めることになった。上羽さんは、京都生まれで京都育ち。9歳から現在もサッカーを続けているサッカーファンであり、高いモチベーションで取り掛かった。

 まずは、サッカー専用スタジアムの欧州視察へ。上羽さんが訪れたのは、FCバイエルン・ミュンヘンの本拠地である「アリアンツ・アレーナ」(7万5000人収容)、スイスのザンクト・ガレンにある「AFGアレナ」(1万9694人収容)、ルツェルンにある「スイスポルアレーナ」(1万7000人収容)、MF中田浩二が所属していたFCバーゼルの本拠地「ザンクト・ヤコブ・パルク」(3万8512人収容)、FW久保裕也が所属していたBSCヤングボーイズの本拠地「スタッド・ドゥ・スイス・バンクドルフ」(3万2000人収容)などだ。

 なかでも「スタッド・ドゥ・スイス・バンクドルフ」は、上羽さんがそのデザインに憧れ、長年行きたいと思っていたスタジアムだという。その直線的なデザインの美しさをサンガスタジアムの観客席に取り入れた。

 屋根を見上げると、お寺のように木製の骨組みが見えるような格子状のデザイン(垂木飾)で、京都らしい外観となっている。屋根全体のシルエットは、亀岡市の人気観光スポットである「保津川下り」の船底の形をモチーフにし、木材には京都府内産の杉を使用している。

スタンド最前列からピッチまで最短7.5m ファン興奮「もう、びっくり! そこやん!」

 そして、なんと言っても目を引くのが、ピッチと観客席の近さだ。メインスタンドで観戦したサポーターは「もう、びっくりしました! そこやん!」と、ピッチの近さに興奮。

 スタンド最前列からピッチまでの最短距離は7.5m(バックスタンド)。最前列とピッチの高低差は1.2m。座席は、前の人の頭がかぶらない勾配に設計されている。ピッチまでの最短距離は、FIFA(国際サッカー連盟)のスタジアム標準を満たしたうえで、見やすさを計算して実現した近さ。メインスタンドは、選手のウォーミングアップエリアを考慮し、8.5mになっている。

 屋根は、全国初となる観客席最前列から2m張り出した屋根で全席を覆う設計で、1年中、芝に光を確保するため、屋根のガラスの範囲が計算されている。

 上羽さんは、スタジアムの一押しポイントについて「駅からスタジアムに向かうと、スタジアムの外観の黒のシルエットがどんどん近づいてくる。スタンドに入ると、観客席の鮮やかな紫とピッチの緑が一気に目に飛び込んでくる。このドラマチックな瞬間を体感してほしい」と語る。

 新スタジアムの完成を楽しみにしていたサンガサポーターの横田岳志さんは、「スタジアムの内装のコンクリートの仕上げがきれいなのを見て、これはほんまもんやと思いました。しっかりと仕上げてある。こういうしつらえをしてもらって、おもてなしをしてもらって初めて、大事にしてもらってるんやなと思う。日本代表戦には、サンガサポだけじゃなく、多くの人にこのスタジアムに来てほしい」と、熱く語る。

 京都のホームとなる新スタジアムは、伝統文化に育まれ、本当に質の良いものを見抜く力のある京都人の心もしっかりとつかんだようだ。

FW宮吉も距離の近さを実感 「これまでより圧倒的にサポーターの声援を感じる」

 こけら落としとなった京都とC大阪のプレシーズンマッチは前半を1-1で折り返し、後半19分とアディショナルタイムに失点。京都は2点ビハインドを背負うも、ゴール裏の応援の声は一段と大きく、ひとつになった。すると、それに応えるようにFWウタカが力強く1点を返し、2-3で敗れながらも京都は意地を見せつけ、サポーターも選手たちを温かい拍手で迎えた。

 京都で長年プレーしてきたFW宮吉拓実は、ピッチと観客席の近い距離について「これまでより圧倒的にサポーターの声援を感じる。1年間、一緒に戦っていければ」と、今シーズンの戦いに一層の思いを込めた。

 京都のJ2ホーム開幕戦は、3月1日のV・ファーレン長崎戦。3月27日にはU-23日本代表の南アフリカ戦が予定されている。世界にも誇れる新しいホームスタジアムで、サポーターと一体になってJ1昇格を目指す京都の戦いに注目が集まりそうだ。

Football ZONE web編集部