【橋本英郎インタビュー|前編】攻守の使い分けを追求する「岡田メソッド」でJ3の舞台へ

 3月のスタートを予定していたJ3リーグが、いよいよ開幕の時を迎える。新型コロナウイルスの影響により、無観客の“リモートマッチ”での開催となるが、サッカーのある日常が戻ってくることに心躍らせる人は多いはずだ。

 リーグ再開を前に、Football ZONE webも参加している「DAZN Jリーグ推進委員会」では、J1からJ3までの全56クラブを対象に「THIS IS MY CLUB – FOR RESTART WITH LOVE -」と題したインタビュー企画を実施。Jリーグ元年を迎えるFC今治からは、チーム最年長の元日本代表MF橋本英郎に登場してもらい、愛するクラブへの思いや“岡田メソッド”について語ってもらった。

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 元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーに就任してから5年半、今治は5部相当の四国リーグ、JFL、J3とカテゴリーを上げ、ついに念願のJリーグデビューを果たす。スペイン人指揮官のリュイス・プラナグマ・ラモス新監督を迎えたチームはどんなサッカーを掲げるのか。在籍2年目となる橋本によると、新たなスタイルを導入するのではなく、クラブが掲げるプレーモデル「岡田メソッド」を極めていく形になるという。

「今年はリュイス監督の下、FC今治として以前から取り組んできた『岡田メソッド』をできる限り実現させようとしています。『岡田メソッド』をひと言で伝えるのは難しいですが、簡単に言うと、相手よりも1点多く取って勝利を目指すサッカー。戦術的な部分では、僕らはゴールを守り、ゴールを奪いに行くという原理原則に基づいています。裏が空いていれば裏に蹴ればいい、カウンターに行ければカウンターに行けばいい、カウンターに行けないならポゼッションすればいい、という考えです。“使い分け”というスタンダードを突き詰めて追求するチームはあまりないかもしれないですね」

 今治は橋本のほか、ワールドカップ出場2回を誇るDF駒野友一と百戦錬磨の元日本代表戦士が在籍する一方で、Jリーグ初挑戦の選手も少なくない。経験値では他のJ3クラブに劣るとはいえ、橋本自身は「あまり意識していない」と語る。

「取材が増えたり、DAZNの試合中継で自分たちが映った時に、『俺、Jリーガーになったんだな』と実感すると思います。ただ、今回は新型コロナウイルスの影響で最初はリモートマッチ(無観客試合)。開幕戦は岐阜でのアウェーゲームですが、雰囲気的にはそこまで緊張せずにできるのかなと思います。地域リーグ、JFLを戦ってきた選手に注目してもらえたら、楽しみ方は変わるはずです。FC今治を応援している方以外の方が観た時に、『こんないい選手いたんやね』『だから昇格してきたんやね』『だから強いんやね』と思ってもらえる存在がウチにはいるので、誰か1人ではなくて、Jリーグ初挑戦の選手たちを応援して頂けたら嬉しいですね」

2025年までに「常時J1で優勝争いをするとともにACL優勝を狙う」クラブを目指す

 長年ガンバ大阪で活躍し、リーグ優勝1回、ナビスコカップ(現ルヴァンカップ)優勝1回、天皇杯優勝1回、AFCチャンピオンズリーグ優勝1回、さらに日本代表でも15キャップを刻んでいる橋本は、2016年に期限付き移籍したAC長野パルセイロでJ3を舞台にプレーしている。その経験を基に考える、今治のJリーグでの“現在地”とは――。

「自分たちの力を発揮できれば、戦っていけるレベルだと思います。ただ、J3はJFLに比べると選手の身体能力が一気に上がります。(ヴィッセル神戸FW)藤本(憲明)選手のようにJ2、J1とカテゴリーが上がっても通用する選手がJ3にもいたわけで、JFLにはいなかったレベルの選手が出てくる。そこに僕らがしっかりと対応できるかは、Jリーグ元年の今治にとって課題になります。僕らは下から上がってきたチームなので、受け身になるんじゃなくて、勘違いせず、謙虚にチャレンジを続けられるかが大事かなと」

 今治は岡田氏がオーナーに就任した2014年11月、「常時J1で優勝争いをするとともにACL優勝を狙う」と10年後の目標を掲げた。“2年ごとにカテゴリーを一つ上げる”想定からはプラス1年の時間を要したが、橋本の目から見ても大きな理想にたどり着くのは決して不可能ではないという。

「2025年と改めて聞いて、もう少し早く行けるんちゃうかなと勝手に思いました(笑)。僕は今治にとってのJリーグ元年にJ3からJ2へ上げるつもりでいるので、今年昇格したら、21、22、23、24年とJ2の期間が長いなと思ったくらいなので、可能性はあると考えています。しばらくはリモートマッチになりますが、その間にスタジアムで一緒に戦いたいと思ってもらえるように映像を通してチャレンジしている姿を見て頂きたいです」

「岡田メソッド」を武器にJリーグで“今治旋風”を巻き起こせるか、いよいよ新たなステージでの挑戦が幕を開ける。

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

[PROFILE]
橋本英郎(はしもと・ひでお)

1979年5月21日生まれ。大阪府出身。173センチ・68キロ。大阪スポーツマンクラブ―G大阪ジュニアユース―G大阪ユース―G大阪―神戸―C大阪―長野―東京V―今治。J1通算339試合・19得点、J2通算80試合・1得点、J3通算19試合・1得点。日本代表通算15試合0得点。卓越した戦術眼と的確なポジショニングで攻守のバランスを整える中盤のコネクター。2019年に今治へ移籍し、経験豊富な最年長として“Jリーグ元年”のチームを牽引する。

Football ZONE web編集部