【ドイツ発コラム】最終節を前に追い込まれた1部ブレーメンと2部ハンブルガーSV

 新型コロナウイルスの影響による中断期を挟んだ今季のブンデスリーガも、最終節を残すのみとなった。すでにバイエルン・ミュンヘンが8連覇を達成し、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権はドルトムントが当確で、RBライプツィヒも得失点差で大きな差をつけているのでほぼ確定。残り1枠をボルシアMGとレバークーゼンとが争うことになる。UEFAヨーロッパリーグ(EL)へは、そのどちらかのチームのほか、ヴォルフスブルクとホッフェンハイムがすでに出場権を手にしている。

 そんななか、一番の注目となるのは1部における残留争いと2部での昇格争いだろう。残留争いはデュッセルドルフとブレーメン、そして昇格争いはハイデンハイムとハンブルガーSVが、それぞれ入れ替え戦への1枠をかけて最終戦に臨む。

 それにしても、1部リーグで優勝歴もあるブレーメンとハンブルガーSVが、数多くの名選手が名を連ね、ドイツのみならず欧州中で評価されていた両クラブが、こうした状況に追い込まれることになるとは……。

 そもそもブレーメンは、今季EL出場を目標にしていたクラブだった。シーズン前から「EL出場権獲得は僕らの最低限の目標」と副キャプテンのデイヴィ・クラーセンは公言し、フロリアン・コーフェルト監督も「ヨーロッパに行くためには」という言葉が文頭にくることが多かった。

 開幕直後はまだ狙い通りの攻撃が見られていたことから、首脳陣にもファンにも心配する声は少なかった。「自分たちがどのようにチャンスを作り出していたか。同じ形だけではなく、様々なバリエーションを使い分けながらしっかりとしたチャンスを導き出せていた。90分を通して、そうしたプレーが見られていたことについては間違いなく満足している」と、コーフェルト監督はチームのポテンシャルを常に信じ続けていた。

 だが、その後どれだけチャンスを作ってもゴールが決まらない。ピリッとしない攻撃に加えて、守備でもバランスが悪く、あまりにもあっさりと失点を重ねてしまう。負けが続いてもクラーセンは、「残留争いをするようなチームのクオリティーではない」と、目標はあくまで“ヨーロッパ”の姿勢を崩さなかった。

ブレーメンの自力残留は消滅、状況は極めて厳しい

 自分たちに自信を持つのは大事だ。それがなければやっていけない。だが、現実的ではない過度の自信は考えることを麻痺させてしまうことがある。「ヨーロッパへ」という思いは、どこかで一度封印しなければならなかったのかもしれない。そしてクラブの問題点をしっかりと分析し、適切な補強をする必要があった。

「マックス・クルーゼがいない影響は?」

 昨季まで絶大な存在感を示していた元ドイツ代表FWマックス・クルーゼ(フェネルバフチェ→無所属)の移籍による損失を、地元メディアは繰り返し指摘していた。これに対してコーフェルト監督は、「マックスは確かにゲームを作り出す能力の長けた素晴らしい選手だった。だが、何から何までこれまでウチにいた選手に要因を求めるのは間違っている。マックスはゴール前で特別に冷静で狡猾だった選手ではないはずだ」と見解を述べていた。

 その見方も一理ある。でもそれがクラブとしての分析だとしたら、まさにゴール前で得点を決められる選手の獲得を画策するべきではなかったのだろうか。

 冬の移籍市場で獲得したのは、ヘルタ・ベルリンのFWダヴィー・ゼルケ。ダイナミックで闘争心のある良い選手だ。だが、ブレーメンの現状にあった選手だったのだろうか。加入後11試合で無得点だ。

 最終節ではケルンに勝つことが最低条件。そのうえで16位デュッセルドルフの結果待ちだ。デュッセルドルフがウニオン・ベルリンに負けたら逆転で16位へ浮上。引き分けた場合は、ブレーメンがケルンに4点差以上で勝利することが条件になる。ここ数試合連続で好プレーを披露している日本代表FW大迫勇也に期待は集まるが、今季4点差以上での勝利は第31節パーダーボルン戦(5-1)の1試合のみ。状況は極めて厳しい。

 一方、「一度も2部リーグに落ちたことがない」というのが最大の誇りだったハンブルガーSVが降格したのが2シーズン前。最速での1部復帰と意気込んで臨んだはずの昨シーズンは、戦力的には2部トップレベルの陣容を揃えながら、終盤で調子を崩して最終的には4位に終わった。

 同じ過ちを犯さないためにと、今季は経験豊富なディーター・ヘッキング監督を招聘し、万全の態勢を整えた。シーズン途中までは順調に自動昇格圏内につけていたが、後半戦途中から失速。特に再開後は勝ち点が伸びず、8試合でわずか2勝。結果だけではなく、終了間際の失点で勝ち点を逃す試合が続いてしまったのが痛い。

ハンブルガーSV監督も嘆き節 「サッカーの神が我々の側にいないのでは…」

 象徴的なのは、昇格を争うシュツットガルトとの直接対決だろう(第28節)。2-0とリードしていながら、日本代表MF遠藤航のゴールで相手に反撃の糸口を与えると、勢いに乗ったシュツットガルトの攻勢を抑えることができず、後半アディショナルタイムの失点で2-3の逆転負けを喫した。

 さらに前節では4位だったハイデンハイムとの直接対決も落としてしまう。先制点を決めたのはハンブルガーSVで、試合内容も悪くないのだが、後半途中からはピタッとその流れが崩れる。引き分けで終えたら少なくとも3位の座をキープすることができたのだが、1-1で迎えた後半アディショナルタイム5分に、ハイデンハイムが今季ベストゴールクラスの得点でなんと逆転に成功した。

 最終節を前に4位へ転落してしまっただけに、ヘッキング監督は「我々は昇格するのにふさわしいクオリティーを誇っているし、それだけのパフォーマンスを見せてきている。とうに昇格を決めていてもおかしくないくらいだ。それだけに消化するのが難しい。サッカーの神が我々の側にいないのではないかのようだ」と嘆く。

 最終節でザントハウゼンに勝利し、ハイデンハイムが首位ビーレフェルトと引き分けか負けると3位に浮上することはできる。こちらもまずは勝たなければ話にならない。ブレーメンもハンブルガーSVも、あとは神のみぞ知る、だ。

 追い込まれたドイツの古豪のどちらかに、あるいはどちらにも勝利の女神が微笑み、入れ替え戦出場のチケットを手にすることはありうるのだろうか。可能性は限りなく低いが、もし両クラブによる入れ替え戦が実現となったら、ドイツのサッカーファンは大興奮で注目するはず。ブンデスリーガも残すところあと1試合、果たしてどんなエンディングが待っているのだろうか。

Football ZONE web編集部