【J番記者が選ぶスーパーゴール|柏編】2008年J1第20節浦和戦(後半アディショナルタイム4分)

 2008年8月9日、第20節の浦和レッズ戦(2-2)で柏レイソルの元ブラジル代表FWフランサが決めた得点は、Jリーグの歴史上でも屈指のスーパーゴールである。

 試合展開も劇的だった。追いつ追われつの白熱したシーソーゲームは、後半アディショナルタイムに浦和に勝ち越し点が生まれた。柏に残された時間は残り数十秒。この時点で埼玉スタジアムに詰めかけた大観衆は、浦和の勝利を確信したことだろう。だがこの日の主役は柏の背番号10だった。

 迎えたラストワンプレー。浮き球パスを受けたフランサは、胸トラップから右足アウトサイドにかけたシュートをペナルティーエリアの外から放つ。シュートは飛びつくGKの手元を避けるようにカーブして右ポストに当たり、そのままゴールへ吸い込まれた。

 あまりのスーパーぶりに偶発的な要素が大きかったのではないかとも思えるが、フランサは「蹴りたいコースにアウトフロント気味で蹴った。ポストに当たって入ったのは運が良かったが、狙い通りのシュートが打てた」と試合後に解説。“魔法使い”の二つ名を持つフランサの本領発揮、まさに魔法をかけたかのようなゴールである。

 ゴール後の指で大きく円を描いたセレブレーションは、同僚MF大谷秀和も「あのパフォーマンスはかっこよかった」と振り返っている。ゴールのド派手さだけでなく、パフォーマンスにもフランサの伊達男ぶりが表れていた。

降格決定後に決めた超絶ロングシュート、J2優勝につながる“迷いなき一撃”

 2019年にJ2を制し、柏は1年でJ1に返り咲いた。今になって思えば、2018年の最終節こそが、J1復帰を目指した戦いのスタートだったようにも思える。

 第32節で加藤望監督を解任し、ラスト2試合の指揮は岩瀬健ヘッドコーチが務めることになった。しかし、第33節のC大阪戦は3-0と快勝を収めたものの、ライバルチームが勝点を積み上げたことで柏の降格が決まってしまう。

 そのようなシチュエーションで迎えた2018年最終節の相手は、9連勝中のガンバ大阪である。岩瀬監督はこの試合に臨むにあたり、それまでの32試合で選手たちのプレーに度々見られた「迷いをなくしたい」と話していた。

 そしてブラジル人FWクリスティアーノのゴールは、まさしく迷いなき一撃だ。G大阪の一瞬の隙を見逃さなかったMF中山雄太の守備、そのルーズボールを拾ったクリスティアーノはハーフウェーライン付近だったにもかかわらず、GK東口順昭のポジションがゴールから飛び出していることを見極めると、迷わず超ロングシュートを放つ。

 岩瀬監督が「選手が覚悟を持って取り組んだ結果。もともと持っている選手のパワーとスピードとアイデアがピッチの中で表現できるようになった、ただそれだけ。もともと選手が持っているものを発揮すればこういう力が出る」と会見で述べたように、柏の選手たちからは「本来の自分たちの力を見せる」という心意気が感じられ、G大阪のクラブ記録となる10連勝を阻止した(柏が4-2勝利)。

 クリスティアーノの超絶ロングシュートは、その気持ちが乗り移ったかのようなゴールであり、2019年シーズンへ向けた柏の復活の狼煙でもあった。

Football ZONE web編集部