FC東京はホームで川崎に0-4と完敗 静寂の“多摩川クラシコ”は前半で決着

 35回目となる“多摩川クラシコ”は、無観客試合として行われた。空席の味の素スタジアムは試合終了後も静寂に包まれていたが、もしサポーターのいるなかでのゲームだったら、地響きのような大ブーイングが沸き起こっていたことだろう。それほどまでに、FC東京にとってはあまりに悲惨な完敗だった。

 FC東京は8日、J1リーグ第3節で川崎フロンターレと対戦した。ここ数年、上位争いを繰り広げ、今季も無敗を維持するライバル同士の上位対決となったが、蓋を開けてみれば前半だけで4失点を許す惨敗となった。わずか45分間で勝敗が決してしまう格好となったが、近年堅守を築き上げてきたFC東京はなぜ大量失点を喫することになったのか。

 キーポイントの一つとなったのは、中盤の“主導権争い”だろう。

 この日、川崎は今季から導入している4-3-3システムを継続して採用してきたのに対し、FC東京は“川崎対策”として普段とは異なる4-5-1システムで臨んだ。試合の立ち上がりこそボールを回す川崎を相手に、FC東京は球際へ激しくプレッシングし、相手の足を削る勢いで攻撃の芽を摘む闘志を示していた。

 とりわけ川崎の攻撃を司るMF大島僚太に対しては厳しく圧力をかけていたが、大島が徐々にFC東京のプレッシングに順応しワンタッチ、ツータッチの速いテンポのプレーを増加させていくと、FC東京の中盤が徐々に剥がされ始め、川崎へと風向きが変わっていくことになる。そして前半17分、大島に強烈なミドルシュートを叩き込まれて先制点を許すと、この一撃でバランスが崩れたFC東京は約20分間でさらに3失点を喫してしまう格好となった。

 長谷川健太監督も試合後、「中盤の選手を多めに起用したので、中盤で負けないというのが今日のテーマだった」と、中盤を制圧する狙いを持ってこの試合に臨んだことを明かしている。「入りはそれほど悪くはなかった」としつつも、「1失点目で気落ちしてしまった」と振り返り、前半のうちにMF髙萩洋次郎をベンチに下げるプラン変更を余儀なくされた。

犠牲を払ってでも掴みにいった中盤の主導権争いに敗れ…

 川崎はフィジカルコンタクトに長けたMF田中碧がフィルター役と配球役を務め、MF脇坂泰斗がハードワークで穴を空けないよう縦横無尽に走り、大島が前線の選手の舵取りを担い、また状況によって役回りを流動的に入れ替える完璧な連係を見せていた。その一方、中盤で数的優位な状況を作れていたはずのFC東京は、その中盤の攻防で後手を踏み続けていた。

 前半は中盤に人数をかけたことで、最前線のFWディエゴ・オリヴェイラは孤立を強いられていた。犠牲を払ってでも掴みにいった中盤の“主導権争い”で敗れたことにより、FC東京は攻守にわたってバランスを失い、ホームで川崎相手に屈辱の大量失点を招く結末となった。

 あくまで結果論になってしまうが、川崎をリスペクトしすぎず、たとえ中盤を支配されたとしてもFC東京らしい堅守速攻のスタイルで真正面から挑んでいれば、試合の結果も変わっていたかもしれない。

Football ZONE web編集部