【J番記者コラム】今季初の連勝を懸けた重要な一戦も…浦和に1-2敗戦

 清水エスパルスは前節の湘南ベルマーレ戦で、今シーズン初の無失点試合で3-0と勝利し連敗を「7」でストップした。ただ、敵将の浮嶋敏監督には「清水が今までの戦い方を捨てて、ロングボールを入れてこぼれから打開するというやり方に切り替えてきた」と試合後の会見で指摘された。これに対して、清水のピーター・クラモフスキー監督は「試合をコントロールすることができ、スペースを上手く使えていた。見方によっては違うのかもしれないが、それはここまで継続してやってきたこと」と話している。

 確かにここまでの清水は、頑固なまでに自陣からボールをつなぐサッカーを展開してきたことは事実であるが、「特に連敗中は『ボールを大事にする』という捉え方を選手たちが勘違いしていて、ダイナミックな動きというものがなくなっていた。それが悪い方向へ向かっていたが、湘南戦ではそこが多く出せていた」とMF中村慶太はこの試合での戦い方を振り返っている。前方へ入れるボールは増えたが、それはあくまでもやりたいサッカーをやりやすくするため――。先制点のシーンでは自陣から10本のパスをつなぎ、FW後藤優介のクロスをニアでFWカルリーニョス・ジュニオが決めたものであり、決して今までの戦い方を捨てたわけではなかった。

 そんなビルドアップに幅ができた清水が23日、今シーズン初の連勝を目指して、試合前の時点で暫定8位につけていた浦和レッズをホームに迎えた。この試合に向けて、チームは湘南戦での戦い方がフロックでないことを証明するための大事な一戦だと位置付けており、選手たちも立ち上がりから積極的にボールを動かし、セカンドボールも回収していた。また、パスミスからボールを失っても素早い切り替えで主導権を渡すことなく、前節の暫定17位対18位の戦いでの1勝がこれほどまでに選手たちに自信を与えるのかと驚いた。

 しかし、決定的なチャンスまでには至らずにいると、前半21分にCKのこぼれ球から浦和DF山中亮輔にスーパーミドルを叩き込まれてしまう。浦和の初シュート、そして前半唯一のシュートを決められてしまった。

 後半14分には、清水のCKでDF陣が上がっていた裏をカウンターで突かれ、MF長澤和輝のスルーパスからFWレオナルドに独走を許し、最後は“清水キラー”のFW興梠慎三に追加点を決められた。清水も後半アディショナルタイム1分に、後藤のクロスからFWティーラシン・デーンダーがダイレクトボレーで一矢を報いたが、あと1点が奪えずに勝ち点をつかむことはできなかった。

3勝3分13敗、“降格なし”の異例シーズンで目指すべきもの

 今シーズンはミスから先制を許し、追加点を奪われ、終了間際に1点を返すのがやっとというパターンで敗戦することが多いが、今回の浦和戦での失点は自分たちの単純なミスというより、試合巧者の相手にしてやられたという印象だ。もちろん、2失点目はフィニッシュまで到達できずにボールを奪われており、全員が前がかりになり過ぎリスク管理ができていなかった点は否めないが、これまでとは内容が異なる「可能性を感じる敗戦」だった。

 しかし、まだまだ課題は多い。クラモフスキー監督は「相手にチャンスを与えないこと、自分たちのチャンスを決めきること」、10試合ぶりに先発出場したDFエウシーニョは「ミスを少なくすること」、そして出場停止明けで戻ったキャプテンのDF立田悠悟は「試合運びとゴール前での質」を課題に挙げている。いずれも簡単に解消できることではないが、それを克服しなければチームが目指す「自分たちのサッカー」は確立できない。また、この試合では5人のブラジル人選手が同時に先発出場したが、日本人選手の奮起も不可欠だと感じている。

 コロナ禍の中でスタートした今シーズンも、折り返しの時期を迎えた。清水は19試合を消化して3勝3分13敗と下位に沈んでいる。結果が求められるプロは勝利こそがすべてというのは正論だが、一生に一度あるかないかの“降格なし”のシーズンをどう捉えるかは、J1の18クラブそれぞれの立場によって違うだろう。スポンサーや決して安くないチケットを購入してスタジアムに来場する観客が勝利を期待していることは考慮しなければいけないが、クラブに本気の覚悟と信念があるのであれば、未来につながるチャレンジを貫くことも今シーズンは許されるのではないかと思っている。

Football ZONE web編集部